たくさんの価値観と出合うことで個性は磨かれていくもの

「個の時代」といわれて久しい。美容師とは人の個性に光をあてる仕事であり、個性とは何かと考えることも多い職業だ。「個性を発揮するとは、単に人と違うことをやることではありません。そもそも自分の個性とはなんなのか…まず自分自身と向き合うことが大切だと思います」と千濱格卓社長。オレンジポップは、一九八二年創業し、多くの美容師を輩出してきた。

「個性が何であるかを、はじめからわかる人はいないものです。個性とは、『いいな』と感じるものをたくさん真似してみて、その経験を積みながら培われていくものではないでしょうか。若いうちは自分に何が向いているかもわからないものですが、目の前のことに夢中になって取り組むうちに、見えてくるはずです」

千濱社長は、二十代はじめにイギリスに留学。慣れない異国の環境で、多くの人と交流をもちながら、自分自身と向き合った。

「国外に出て、それまでの視野の狭さを知りました。当初、言葉もわからないままイギリスの田舎にホームステイをしたとき、語学学校から帰ったあとは人恋しさから毎日のようにパブに通い、現地の人に話しかけていましたね（笑）」

その後は美容学校に進み、卒業後はそのまま現地で美容関連の仕事も経験した。

「世界には本当に多種多様な人たちがいて、それぞれに文化、教育、家庭などの違った背景があります。どんな人に対するときも、背景を見るようにすると、人間性の理解につながるのではないでしょうか。人は一人では生きていけません。人との関係性のなかで生きていくためには、多様な個性への理解は不可欠です」

チームワークを大切に。より大きな仕事に挑戦していこう！

近年では、個人的にSNSを使って情報発信する美容師も増えている。

「SNSを使って自分を発信したり集客したりするのは、とてもいいことだと思います。ですが、チーム（会社）として情報発信することも重要です。チームが輝けば個人も輝きます。チームで活動すれば、個人で活動するより、もっと大きなことに挑戦できます。失敗を乗り越えようとするときも、一緒に働くチームメイトの存在が支えになることも多いものです」

個が輝けばチームも輝き、チームが輝けば個も輝く。個とチームの活動バランスをうまく取っていくことで、よりよい相乗効果が生まれるのだ。

働き続けられる環境や技術・ヒューマンスキル教育も充実

オレンジポップの特徴には、創業以来続く待遇のよさもある。各種保険加入や住宅手当や家族手当など、福利厚生制度が充実し、安心して働き続けられる環境がある。

「弊社では、社員に気持ちよく働いてもらえるよう、待遇にも力を入れています。仕事は人生のなかで大きなウエイトを占めるので、楽しく働かなければ、人生も豊かになりません。社員は家族のようなもの。だからまず、幸せな人生を送ってほしいのです。自分が幸せでなければ、周囲の人（お客さま）を幸せにすることもできないでしょう。プライベートも楽しく過ごし、人生を充実させることが、よい仕事へとつながっていくのだと考えています」

質の高いサービスを提供する美容師を育てるために、最短一年一ヵ月でデビューできる教育プログラムに加え、国際的な技能プログラムなども導入し、力を入れている。

「今後、どんなにICT（情報通信技術）が発達しても、実際に仕事を動かしていくのは、やはり人間です。ヒューマンスキルを向上させることは、美容師として質の高いサービスを提供するうえで最も重要であり、自分自身の市場価値を高めることにも直結すると思います。これから美容師として働こうと思っている方に伝えたいのは、苦難にあっても成長の糧と捉え、くじけないでほしいということ。トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、技術だけではなく、人間性や個性も磨いていってほしいですね」