美容業界の悪しき「当たり前」をことごとく覆した

M.O.E.グループの勤務時間は８時間が基本。レッスンは就業時間内に会社のアカデミーで
実施する。強制参加のイベントは一切なく、美容師の自主性に委ねている。その上、給与や福
利厚生も業界最高水準。その評判が口コミで広がり「人が集まり、辞めない会社」になった。

この「美容師ファーストのホワイト企業」は今、業績を伸ばし、店舗を拡大している。代表の望月は下積み時代から経営者の視点でサロンを見ていた。

「『なぜ人が辞めてしまうのか』『なぜモチベーションが上がらないのか』と考えながら働
いていました。自分が独立したら業界の悪いところを全部変えていこうと思っていたんです」。

これがホワイト企業誕生の原点である。望月が経営者を目指した理由は、自分が豊かになるた
めだった。しかし途中で大切なことに気づく。「自分のためにやれることには限界がある。で
も、人のためならいくらでも力が湧いてきた。誰かの『チャンスメイク』をすることが好きな
んです」。

次世代美容師に必要なのは「人を幸せにする」という想い

ここ数年、SNS が爆発的に普及し、美容師が直接集客できる時代がきた。なかには半ば強制的にSNSを運用させるサロンもある一方で、M.O.E.はやりたい人だけやればいいと、いうスタンスだ。

「そもそも集客を個人にやらせることが疑問です。効果的に集客サイトを使えば、お客さまは来てくれます。集客を個人に任せるのは経営者の怠慢です」。

新しい働き方として普及した業務委託という働き方に頭を悩ませる経営者も多いが、望月は
違う。業務委託を超える労働条件がM.O.E.にあるからだ。

「社会保険に加入した上で、一般的な業務委託よりも還元率が高い労働条件を用意しました。業務委託からM.O.E.への流入が増えると思います」。

M.O.E.はどうしてここまで美容師ファーストを貫けるのか。

「信じて任せることが大事。人を幸せにする美容師という職業を選んだ時点で、見込みがある。だから僕らは、できるだけたくさんの選択肢を用意して、選んでもらうことに注力したらいい。個々の力を引き出せば、お客さまの再来も増えます」。

美容師を信じて任せる。この姿勢は、いつの時代も変わらない。