結局、美容師に大事なのは「技術」か「生き方か」? ワタロー×内田聡一郎の価値観バトル【後編】

現在、ロンドンと東京を行き来しながら、サロンワークとコレクションでのセッションスタイリストの仕事にも注力し、世界のステージに挑んでいるHaco+(ハコプラス)ワタローさん。そこで感じた日本との違いや価値観の更新、未来への野望など、「今のこの気持ちを聞いてほしい」と、ぶつけたのは、東京で美容師として独自の道を築いてきたLECO(レコ)の内田聡一郎(うちだそういちろう)さん。世代も立場も違う二人が語る、珠玉の対談を前後編でお届けします。
後編は内田さんのターン。徹底して日本から発信することの意味を主張してきた内田さんが、日本で幸せなキャリアとは何なのかを追求します。
フロムジャパン「日本にいながらにして世界にぶつける」が内田流のクールさ

―ワタローさんのロンドンでの体験を受けて、それは場所の違いではなく覚悟の違いなんじゃないか?と内田さんが指摘したところまでが前回でした。
ワタロー:内田さんは「海外に行ってやる」っていう発想はないんですか?
内田:今はないね、俺は。昔から一貫して「日本にいながら世界にかます」っていう考え方。海外に行くのがクールっていうのは全然わかるし、憧れる気持ちも理解できるけど、俺は「お前らが日本に来いよ」っていうスタンスでいたい。だって今や渋谷を歩いていても7割は海外の人(内田調べ)ですよ。その人たちに力量を味わわせることで「日本にはクールな美容室があるから、わざわざ行くべき」ってなるのがかっこいいと思う。だから、若い美容師さんに「海外に行きたい」って言われるとめっちゃ悔しいです!

ワタロー:確かにロンドンに行って思ったのは、向こうに長くいる日本人の美容師ほど、やっぱり最後は「日本の良さを広めたい」って言うんですよね。でも、それはやりきった人だから言えることなんですよ。
内田:それはあるかもね。
ワタロー:せっかく美容師という手に職を持って生きていけるんだから、もし今の環境に不満を持ったまま続けているのであれば、海外に飛び出してほしいんです。
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