二十歳の頃、どう過ごしてた? Hank.米澤香央里さんの二十歳の頃。

アプリ版『リクエストQJ』4月号で掲載中の「二十歳の頃。」をwebでも特別公開!
成人して、大人としての第一歩を踏み出す年齢であり、多くの美容師さんにとっては、美容師人生のスタートでもある二十歳。
今、業界で活躍するみなさんは、当時どんなことを考え、どんな日々を過ごしていたのでしょうか?
今回は、Hank.(ハンク)のアートディレクター、米澤香央里(よねざわかおり)さんに二十歳の頃のお話を伺いました。
二十歳の頃、どう過ごしてた?
─二十歳の頃、米澤さんはどう過ごしていましたか?
色々なことに興味があって、価値観が変わっていった時期でした。学外での活動に夢中で、友人たちとクラブを貸し切ってイベントを企画したこともありましたね。モデルを選んで、衣装を決めて、振り付けも公園で練習して…。自分たちで企画を立ち上げた達成感は大きかったですし、集まったメンバーも意識が高い人たちだったので、思い出に残っています。いわゆる学生として優秀だったかと言われるとそうではなかったと思いますが、濃い時間でした。
─就活で決めていた目標はありましたか?
ヘアメイクの仕事がしたいという思いと、有名店に入りたいという気持ちは強く持っていました。ですが正直に言うと、その当時の人気のサロンにはほとんど受かりませんでした。落ちすぎて、正直どこに応募したかも覚えていないくらいです。周囲の友人たちが次々と内定をもらう中、自分だけが不採用を繰り返し、かなり焦りも感じていました。今振り返ると、有名店に入ること自体が当時の私にとって一つのゴールになっていたのだと思います。

結果的に、私は4月になっても就職先が決まらなくて…。1年目は、みんなハントに出されるので、練習のモデルになって欲しくて周りが電話してくるんですよね。そんな中で私だけが働けていないことが悔しくて、開き直ってその時期は教習所に通っていました(笑)。もちろん美容師として働きたいけど、あまりに何社も落ちたからもうどうしたらいいか分からないという、葛藤の中で過ごした辛い時間でしたね。当てもなく色々な街を歩いて、良い感じの美容室があったら髪を切りに行ったりしていました。
実際にサロンに入ったのは6月頃。就活中に友人の紹介がきっかけで、原宿に新しく立ち上がったサロンで働かせていただくことになりました。そのサロンに、私が目指していた雑誌やヘアメイクの仕事はありませんでしたが、就活で壁にぶつかった分、「美容師として働ける」こと自体に大きな喜びを感じていましたね。
─サロンワークの中で、楽しいと感じる瞬間はありましたか?
当時は、先輩方の指導がとても厳しく、緊張の毎日でしたが、自分の技術をお客さまに喜んでいただく嬉しさは強く感じていました。お客さまと接することも楽しく、現場に立てることが何より励みになっていたと思います。
ただ、今になって振り返ると、当時の私は毎日をこなすことに精一杯で、“プロとしての仕事意識”という点では未熟だったと感じますね。
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