はしゃぐ愛犬を眺めながら髪を切る飼い主…… BULLSON YUJIROがつくった、「犬と人が楽しむ美容室」

原宿・品川の人気サロンで腕を磨いたオーナー・YUJIROさんが手がける、ちょっと不思議でとびきり幸せなヘアサロン「BULLSON(Bulldog×Personブルソン)」。ここは、オシャレにキメたフレンチブルドッグをはじめ、さまざまな犬たちが、ドッグランで元気いっぱいに駆け回る姿を眺めながらヘアカットができる、“犬好きの楽園”のような場所。フレンチブルドックの服を中心としたショップも併設されており、まるで犬と一緒に過ごすカフェのような心地よさと、美容室としてのクオリティの高さが共存する、唯一無二の空間です。もともと独立するつもりはなかったというYUJIROさんが、なぜ“犬と美容室”という新しい世界を切り開いたのか――そのきっかけと想いを聞きました。
美容師人生を変えたのは、彼女とフレブルとの出会い

まわりの美容師仲間が「いつかは自分の店を持ちたい」と話しているのを聞いても、僕はそこまでの熱量を持てずにいて。だから、今こうして妻と一緒に“犬と美容室の複合施設”をやっているなんて、当時の自分が聞いたら一番驚くと思います(笑)。
前職では、原宿の「meuvle(ミューブル)」というサロンの姉妹店で品川にある「SAN」で店長をしていました。ありがたいことに、長く通ってくださるお客さまにも恵まれて、日々のサロンワークにやりがいを感じていましたし、職場に不満があったわけじゃないんです。
むしろ、「このままここで雇われ美容師としてやっていくんだろうな」と思っていました。正直、美容師としてはずっと現場で腕を磨いていくタイプだと思っていたし、ましてや犬関連のビジネスなんて、自分とはまったく別の世界の話だと思っていたんですよ。

妻とは、当時僕が働いていたmeuvleで出会いました。お客さまとして来店してくれて、僕が担当していたんですよ。彼女はもともと、ずっとフレンチブルドッグを飼っていて、とにかく犬が大好き。その延長で、フレブル専門の洋服をECで販売していました。
「同じ空間で、自分たちの“好き”をかたちにできたら面白いよね」っていう話が、自然と出てくるようになったんです。妻のやっていた犬服のECを間近で見ていて、「自分の好きなことを、自分らしいかたちで表現している姿」がすごく刺激的に映ったんですよね。
美容室でもない、ショップでもない「BULLSON」が生まれた理由

妻の活動に、自分のこれまでの美容師としての経験や感性をどう重ねられるかを考えたとき、「美容室という枠の中に収まるのは、ちょっと違うかもしれない」と感じるようになりました。
彼女が手がけていたフレンチブルドッグ専門の犬服ブランドは「フレンチブルドックに合う洋服がない」という悩みからスタートしています。だから、フレンチブルドックの体格にあった服づくりをしているんですよね。商品のデザインにも機能性や素材へのこだわりがしっかりと込められていて、買ってくださる方とのコミュニケーションもていねいなんです。

自分もただ髪を切るだけじゃなくて、もっといろんなことをミックスできる“場所”をつくってみたい。髪を切る時間も、犬と遊ぶ時間も、誰かと出会う時間も、すべてが心地よく交わるような空間ができたら……そんなふうに思い始めました。
美容室と愛犬が過ごせる場所、物販、イベント……そんな要素がひとつになった空間であれば、これまで美容師として培ってきた「技術」や「接客力」だけでなく、自分の感性や人生観そのものを表現できるんじゃないかと。
