【メディアに出ない“影の人気店”】コロナ禍での独立、わずか2年で2店舗。比見幸平が仕掛けた『aid』成功の方程式と、スタッフを“売れっ子”へ導く育成哲学。
今年12月、『aid』のユニセックスサロンが渋谷に拡張移転
――現場では、今でも比見さんが売上トップだそうですね。
そうですね。平均すると月700〜800万円ほどですが、ここ1年ほどはあえて自分の予約枠を減らして、500万円前後に抑えています。というのも、自分自身の売上を維持するよりも、スタッフ一人ひとりにチャンスを回していくことのほうが、長い目で見てサロン全体の力になると感じているからです。
aidは渋谷駅から徒歩1分という好立地にありますし、新規のお客さまの流入も非常に多い環境です。その分、経験の浅いスタッフでもチャンスを掴みやすい。僕自身が予約を絞ることで、空いた枠に自然と指名が流れ、スタッフの成長スピードがぐんと上がるんです。“全員で売れるサロン”を目指しているので、これからも個人の数字よりチーム全体の成長を優先していきたいと思っています。

――サロンワークで意識していることは?
初めて来店されるお客さまには、必ず「一度で理想のスタイルにできないかもしれません」と正直にお伝えしています。髪の履歴や前回のカットの影響、ダメージの状態など、初回ではどうしても限界があるからです。
ただ、そのうえで“今日できるベスト”を全力で作る。そして「次回はここをこう整えて、さらに完成度を上げましょう」と未来の提案を添えるようにしています。そうすることで、お客さま自身も次の来店を楽しみにしてくれるし、「この人なら任せられる」と信頼を積み重ねていけるんです。一回きりの仕上がりではなく、“関係性をデザインする”こと。それが僕のサロンワークで一番大切にしていることですね。

――年内には新店舗も予定されているそうですね。
はい。12月を目処に、現在の恵比寿店を渋谷・西武近くの新築物件へ拡張移転する予定です。恵比寿店はありがたいことに毎日満席状態が続いており、渋谷店もすでに手狭になってきています。駅近の新店舗でも、内装は一からデザイン。洗練された空間の中で、スタッフもお客さまも気持ち良く過ごせる環境を整えたいと思っています。
もちろん家賃は高いですが、その分だけモチベーションも高まるはずです。美容師にとって、働く空間の“気”はとても大事。だからこそ、スタッフ一人ひとりが「この場所で働けてよかった」と心から思えるようなサロンにしたいんです。そしてこの移転を機に、スタッフがより多くのチャンスを掴めるような仕組みをさらに強化していきます。aidというチームの名前の通り、これからも仲間を“支え合い、高め合う場所”として、可能性を広げ続けていきたいですね。


- プロフィール
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比見 幸平(ひみこうへい)さん/『aid』代表
1993年、東京都生まれ。国際文化理容美容専門学校渋谷校を卒業後、都内有名メンズサロンでスタイリストデビュー。親身な接客と明るい人柄で人気を集め、SNS発信にも注力し爆発的人気を獲得。26歳で独立し、2020年、恵比寿で『aid』を開業。2022年11月にメンズ専門の渋谷店をオープン。2025年12月には、恵比寿店が渋谷へ拡張移転を予定している。TikTokフォロワーは20万人。
TikTok:@himipoh
Instagram:@himipoh_aid
(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)