丸みショートの旗手が語る“8年の下積み”と独立の真実──銀座・麻布十番3店舗を率いるaRietta代表・馬場義隆の仕事哲学
“丸みショート”を武器にした発信と、これからの展望
――“丸みショートの旗手”と呼ばれる今のスタイルは、どのように形成されましたか?
コロナ禍でサロンを休業していた期間に、SNSを本格的に取り組み始めました。外部の美容師仲間から「これからはSNSでの集客が主流になる」とアドバイスを受け、投稿のノウハウも教えてもらったんです。
もともとロングやセミロングのお客さまが多かったのですが、カットの技術を最も伝えられるのはショートだと。撮影モデルを営業前に毎月15名ほど切り続け、毎日の投稿を徹底しました。その積み重ねが徐々に集客に反映され、やがて実際のお客さまのスタイルも投稿するように。
モデルさんはさまざまな著名美容師に切ってもらっている方が多く、髪を見るだけで「こうやって切っているんだな」と、ラインの取り方や軽さの出し方など多くの学びがありましたね。そうした技術力の高い美容師と差別化を図り、ショートを自分の強みとして発信していくからには、“さっと乾かして形になる”再現性には、特にこだわり続けました。

――現在のInstagramフォロワーは3.7万人。代表として、その数字は説得力があります。
やはり自分が数字をつくることで、背中を見せられると思っています。49歳になりますが、年齢は言い訳にできません。スタッフも徐々にSNSブランディングの成果が出始めてきて、指名の顧客も増えてきました。それぞれの能力をどう組織の成長につなげるかが今後のテーマですね。

――最後に、今後の展望は?
ブランドとしての質をさらに高めたいと考えています。技術の体系化と教育のアップデートは継続しつつ、2ヵ月に1度の懇親会など社内コミュニケーションにも引き続き力を入れていきます。スタッフの考えをより把握できるようになったことで、一人ひとりの目標を応援したい気持ちがこれまで以上に強くなりました。また、「代表になりたい」「地元で出店したい」という声に応えられるよう、完全独立ではなく、”つながりながら広がる”キャリアの仕組みを整備していくつもりです。納得のいくキャリアを自分でデザインしてほしいので、今後もサポートを続けながらチーム全体の成長を目指していきたいですね。


- プロフィール
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馬場 義隆(ばば・よしたか)さん/aRietta代表
新潟県出身。19歳から地元のサロンで働きながら、通信で美容師免許を取得。上京後、有名店2店舗を経て、2014年銀座に半個室型サロン『aRietta』をオープン。2017年、麻布十番に『aRietta AZABU』、2020年に銀座『aRietta2』を出店。”丸みショート・ボブの達人”として絶大な支持を集める。
Instagram:@arietta_baba
(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)