NOOS岩屋真さんのびよう道 〜周りから評価されるようになっても、人の役に立ち続けること。そこからが本番だ〜
必要とされることを追求し、人の役に立ち続けること

僕が考える”一流”の定義は、わかりやすい表現をすると、冷蔵庫にある残りものの食材でパパッと美味しい料理を作って感動させる人です。例えば海外でセミナーをすると会場で「これがない」「聞いていたのと違う」ということは往々にあります。そこで「必要なものがないからできない」ではなく、用意されたものだけで美しいカラーを出せるかどうか。そこで人を感動させられる色を出せたら、その人は一流だと思います。人からどれだけ必要とされているかというのも、ひとつのバロメーターですね。だから一流のアシスタントもいると思いますし、キャリアや売上の指標では図れないと思います。
僕は「出せないカラーはない」と自負していますけど、一人前になったとか、一流の仲間入りになったなどと思ったことは一度もありません。自分のハウツーがベストだとも思ってないですし、もっと成長できると思っているので、日頃からいろんな美容師の技術もたくさん見てチェックしています。この先、満足できるゴールがあるのかも正直わからないです(笑)。人の役に立ち続けていくことが一番難しいことだと思うので、カリスマと評されるようになってからが本番なのではないでしょうか。

キャリアを20年重ねてきて、僕はもう若い世代に技術を教える役目ではないと思っています。国内では臨店セミナーに注力していますが、サロンオーナーのマインドをアップデートし、カリキュラムから変えていけるような活動が中心ですね。今の自分が誰に必要とされ、どんな風に役に立つのかということは常に考えているので、芯をブラさず、求められる役割の引き出しをその都度、開けていきたいと思っています。教育者として、そしてサロンワーカーとして、今後も人の役に立ち続けていきたいです。

- プロフィール
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NOOS
代表・エグゼクティブカラーリスト/岩屋 真(いわや まこと)
デザインカラーがブームとなる前から、”はさみを持たないカラー専門美容師”として活躍。カラー技術のすべてを得意分野とする”超特化型”プレイヤー。2021年に17年間所属したTONI&GUYを卒業し、2022年表参道に『NOOS』をオープン。国内外でセミナー講師活動にも注力している。2024年には世界47カ国が参加する世界的コンテスト「LIVE FASHION HAIR AWARDS」において、日本人初の「Creative Colourist of the Year」を受賞。
Instagram:@makoto_noos
(文/織田みゆき 撮影/松林真幸)