apish ひぐちいづみさんのびよう道 母として、美容師として、そして幹部として。男社会に風穴をあけた、私の道。

アシスタント時代の頑張りが、チャンスを手繰り寄せた

 

 

スタイリストになってからは、アシスタント時代にお世話になった現場に、今度は「スタイリストとして」呼んでもらえるようになりました。だからやっぱり、アシスタントのうちから「自分を知ってもらうこと」はすごく大事なんです。自分を売り込むというと少し堅いですが、日々の仕事に全力で向き合うことで、少しずつ信頼や印象が積み重なっていく。その積み重ねがあるからこそ、「今回はあなたにお願いしようかな」って、チャンスが巡ってくるんです。

 

たとえば、撮影の現場でも、テレビの仕事でも、編集さんやお客さまとの関係でも…どうしたら一番期待に応えられるか考えて動いて、気持ちのいいコミュニケーションをとる。そういう普段の自分の積み重ねが、すべて結果につながっていくんです。スタイリストになったからといって、急に頑張っても、すぐに信頼を得られるわけではありません。

 

アシスタントとしてやるシャンプーやカラーの準備、営業中のちょっとしたやり取り——すべてに意味があるんです。日々の小さな積み重ねこそが、お客さまとの信頼関係や、業界の方から声をかけてもらえるきっかけになる。自分の仕事に真摯に向き合い続けること。それが、長く続けていく上でいちばん大切だと実感しました。

 

「アレンジの女王」と呼ばれるようになった理由

 

 

当時は、雑誌にひとつ掲載されるだけで、たくさんのお客さまが来てくださるような時代。うちは坂巻が雑誌でバンバン取り上げられていたので、「坂巻のスタイルをまねていれば、ある程度お客さまは来てくれる」——そんな空気もあったんです。

 

でもあの頃は男性美容師が人気の時代。女性という理由だけで「坂巻さんと同じことをしても、同じようには売れない」なんて言われたこともあって……。だからこそ、「自分にしかできないことって何だろう?」と考えたとき、最初に力を入れたのが“アレンジ”でした。

 

アレンジの撮影をしたり、雑誌に提案させてもらったり。女性のお客さま同士が「可愛い!」って盛り上がれるようなスタイルを意識して作っていました。それがきっかけで、少しずつ指名が増え、リピートにもつながっていったと思います。

 

 

大事なのは、「次に指名してもらえるかどうか」。そのために、アレンジやちょっとしたスタイリングのコツをお伝えしたり、「こうするともっと可愛くなりますよ」といった一言を添えたり。そんな“プラスアルファ”を意識して接客していました。「女性らしさ」が評価される領域で、そこを自分らしく表現できたことが、強みになったと思います。

 

 

初めて予約が“ポンポン”と入るようになったときは、本当に嬉しかったです。一番多いときで、1日に25名ほど担当していました。また撮影や誌面の仕事も少しずついただけるようになりました。もちろん、売れっ子のスタイリストはもっとすごくて、もっとたくさんのお客さまを担当していました。でも私は、ある程度しっかりカウンセリングをしたいし、施術もできるだけ自分の手でしたかったので、自分のペースで「目の前のお客さまと丁寧に向き合う」スタイルは崩さずに続けていました。

 

>apishの女性美容師のキャリアパスを切り拓いた

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング