apish ひぐちいづみさんのびよう道 母として、美容師として、そして幹部として。男社会に風穴をあけた、私の道。
年を重ねてもフロアに立ち続ける、元気なおばあちゃん美容師になりたい

ありがたいことに、長く来てくださっているお客さまも多くて、30年のお付き合いになる方もいます。「お互い年を重ねたわね」って笑い合える関係って、素敵だなって思います。
今は、お店や会社の経営的な部分にも携わらせてもらっています。取締役として、社長や他の幹部陣と連携しながら、私は主に“人と人をつなぐ役割”を担っています。技術を直接教えるというよりは、スタッフに寄り添いながら、マインドの部分や成長を後押しするのが私の役割。若いスタイリストが一歩を踏み出せるように、チャンスの場をつくることも意識しています。

私たちの世代は、いわゆる「厳しい時代」をくぐり抜けてきた世代。特に都内では、当時一線で活躍していた女性美容師はそれほど多くなかった印象です。でも、地方に目を向ければ、今も現役で続けている方はたくさんいると思います。ただ、東京となると、やはり数は少ない。

だからこそ、私たちの世代が元気でいることで、「あの世代もまだ現役なんだ」と思ってもらえると嬉しいんです。60歳になっても「まだサロンに立ってるんですね」と言われるような、“元気なおばちゃん美容師”でいたい(笑)。技術も気持ちも、きっとまだまだ伝えられることがあると思うし、年齢を重ねても挑戦することをやめなければ、現役でい続けることはできる——そう信じています。

- プロフィール
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apish 専務取締役
ひぐちいづみ
1974年生まれ、長野県出身。国際文化理容美容専門学校を卒業後、原宿の某有名店に勤務。その後、apishのオープニングメンバーとして活躍。女性ならではの感性を活かしたスタイル提案を得意とし、「自宅でも簡単にお手入れできる、再現性の高いスタイルづくり」をモットーにしている。業界内では“ヘアアレンジ・Set&Upの女王”と称され、apishブライダルや七五三といった特別な日のヘアメイクでも高い評価を得ている。
Instagram:@higuchi_izumi_
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)