震災を経てコンテストに挑みアジアNo.1へ  逆境の連続を乗り越え続けた唯一無二の道 SYUK kazuのびよう道

両親の年齢を意識した58歳までの逆算思考

 

 

僕は活動のリミットを58歳に設定しています。父親がその年齢で亡くなったからです。同じ血を引く以上、先のことはわからない。今38歳ですが残り時間を常にカウントダウンし、「この20年で何を成し遂げるか」を逆算して動いています。ゴールを決めたことで迷っている暇はなくなり、意思決定も行動も速くなりました。

 

過去にコンテストで勝ち抜いてきた経験は、確かな達成感と自信を与えてくれました。けれど数々の舞台を経てわかったのは、「自分が脚光を浴びるだけでは満たされない」ということ。僕を育ててくれた先輩や仲間、応援してくれたお客さまがいたからこそ舞台に立てた。ならば今度は僕が誰かを押し上げる番です。

 

 

そこから生まれたのが「人の成功をクリエイションする」という理念です。自分のデザインでお客さまが輝くこと。後輩が育ち、コンテストや現場で結果を残していくこと。仲間の成長がサロン全体を強くし、美容業界の未来をつくっていくこと。それらすべてを「クリエイション」と考えるようになりました。2023年に独立しSYUKを立ち上げ、現在2店舗を経営していますが、今後は10店舗展開を目標に掲げ、100人のスタッフを育てたい。その一人ひとりが自分の道を歩み、成功していく姿こそが、僕にとって最大の作品です。

 

40歳で真の一人前と胸を張れる自分になる

 

 

いろいろとお話してきましたが、正直に言えば、まだ僕は「完全に一人前」だとは思っていません。ただ、「40歳でようやく一人前」と決めています。一人前とは、年齢の問題ではなく、技術・育成・内面すべてが成熟して初めて辿り着けるもの。美容師としてキャリアを積み、組織をまとめ、人の幸せをつくれる存在になってこそ本物の一人前です。だから今の僕はまだ道の途中にあります。

 

最後に、20代の美容師に伝えたいことがあります。20代は美容師にとって最も大切な時期です。この時期にどれだけ「やるか」が、その後の未来を大きく左右します。僕が修業時代に学んだのは、才能やセンスよりも、手を動かし続けた人が結果を残すということ。やり続けた人だけが見える景色があります。

 

 

一方で、短期的な勝ち負けに囚われないでください。コンテストで勝てるか、同期よりデビューが早いか。そんな小さな比較ではなく、長期的に努力を積み重ねてほしい。20代の努力は必ず未来の力になります。失敗しても大丈夫。その経験が必ず次につながります。どうか大きな夢を掲げて挑戦してください。そして常に、お客さまや仲間、自分自身に愛情を持って向き合い続けてほしい。その姿勢こそが、あなたを一人前へと導くはずです。

 

プロフィール
SYUK代表
kazu

美容師歴18年。都内の老舗理容室、表参道のトップサロンを経て、練馬にて再出発。コンテストで数々の受賞歴を持ち、2017年にはアジアNo.1を獲得。2020年、JHA(ジャパン・ヘアドレッシング・アワーズ)大賞部門で準グランプリを受賞。「美容師版ミシュラン」と呼ばれる KAMICHARISMA を6年連続受賞。2023年12月、高円寺にサロン『SYUK』をオープン。全国各地でのセミナーや審査員活動を通じて、美容業界全体のレベルアップに尽力している。

 

(文/外山武史  撮影/菊池麻美)

 

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