「なぜ売れない?」と悩み続けた7年。飛躍を生んだ“助走期間” 美容師YouTuber 大野道寛のびよう道

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代です。もちろんそれも良いですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があっても良いかもしれません。「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修行時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。
今回、お話いただいたのはショート・ボブ専門美容師ミッチーこと大野道寛(おおのみちひろ)さん。芽が出ない時期も、黙々と練習し、学び、発信し続けた日々は、やがてYouTubeでの大きなブレイクへとつながっていきます。積み上げが報われた先に広がる景色と、後進に託したい思いを語っていただきました。
記念受験のつもりで受けた超有名サロンに内定

美容学生の頃、カリスマブームの火付け役だった有名サロンを記念受験しました。正直、本命は別にあったし、「どうせ受からないでしょ」と思って面接の練習がてら受けただけ。
でも気づいたら選考が進んでいて、まさかの合格。他のサロンを全部断って「受かったからにはやるしかないか」と腹をくくったのを覚えています。親や友人にも驚かれて「え、そんな有名なところなの?」と逆に怖くなったくらいです。

実際に働き始めてみると、とにかく毎日が体力勝負。朝7時から掃除して、営業して、夜は練習。撮影の日なんてもっと早い。1年目は本当に掃除の一年で、20台以上あるシャンプー台を磨き、山ほどのタオルを洗って、開店前の立ち上げと、閉店後の締め作業。
掃除は「プロとしての準備」を教えてくれる大事な時間でした。髪の毛一本残さない、次に使う人が気持ちよく使えるように整える。その「当たり前」を徹底的に叩き込まれたのは、本当に財産だったなと思います。でも、2年目になって「一年生掃除」から解放されたときは、本気で嬉しかったですね(笑)。
デビューまでの下積み期間は5年……僕には必要な時間だった

練習時間も長かったんですけれど、僕はそれが辛いと思ったことがないんですよね。ウィッグをひたすら切るのも、原宿でモデルを探すのも、全部が楽しかった。当時はSNSで募集なんてできなかったから、探すところからもう練習。先輩に「寝るな、休むな、気を抜くな」と言われるような時代でしたけど、僕はむしろ“もっとやりたい”と思ってました。
スタイリストデビューまでには5年かかりました。今の感覚だと遅いと思われるかもしれませんが、当時は普通。同期の中でも真ん中くらいのスピードでした。でも振り返ってみると、この5年が僕にはちょうどよかった。今のように「カラー特化」や「◯◯カット特化」という文化ではなく、カット・カラー・パーマ・ブローを全部しっかりできて当たり前。苦手を残したままデビューするという選択肢はゼロ。だからこそ、時間をかけてじっくり基礎を叩き込めたし、デビューした瞬間から「できません」という技術がない。完璧な状態だったんですよね。
