見掛け倒しのフェイクはいらない。リアルな技術だけを残したい。 MR.BROTHERS CUT CLUB 西森友弥のびよう道
最大で1年で60回、少人数制のセミナーをやる理由

セミナーをやるときも、見せるためのステージには興味がなかったです。明日から現場で使えるかどうか。それだけを基準にしてきました。あるとき、セミナーのあとで床屋さんに泣きながら「ありがとう」って言われたんです。「業界を、職業を、もう一回かっこよくしてくれてありがとう」って。その言葉を聞いたとき、ミスターブラザーズが支持された理由も、教育に力を入れる意味も、全部一本につながりました。

多い時は1年に60回くらいセミナーしてます。儲かってそうに思われるかもしれないけど、正直に言うと、店を出して、毎日ひたすら髪を切ってたほうが、もっと儲かります。
でも、いっとき店を流行らせるだけなら、正直そんなに難しくない。問題は、30年、40年と残り続けるかどうか。そんな店は1%もないと思ってるし、そこを本気で目指すなら、やり方は限られてくる。本物の技術を伝えて、必要とされる店なら、そりゃ生き続けるでしょ。
一流になれ。有名じゃなくていい

トップが下に迎合してヘコヘコし始めたら、店は終わる。妥協してうまくいっている店を、僕は見たことがないです。技術の基準を下げた瞬間に、全部が崩れる。だから厳しくやってますし、そこは一切ブレさせていない。雰囲気だけ真似しても、長くは続かない。職人の世界って、そういうもんだと思ってます。
だから、若い子たちには、一流になれって言いたいですね。有名になれ、じゃない。技術で黙らせられるかどうかです。上手ければ、何を言われても関係ないし、好きにやれる。タトゥーを入れるのも、発信するのもいい。でも、それをやるなら、それなりの気合と技術を先に持てよ、と思います。

自分らにしかできないことは、やっぱり教育です。ちゃんとした技術を、ちゃんとした形で次に渡す。業界がかっこいいまま、長く続くために、それをやり続ける。それが、僕がこの道を選び続けている理由です。

- プロフィール
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西森 友弥
MR.BROTHERS CUT CLUB 代表
三重県出身。16歳からヘアサロンに勤務。住田美容専門学校卒業後、都内のヘアサロン勤務を経て東京・原宿に「MR.BROTHERS CUT CLUB」を開業。現在は国内に5店舗、アメリカ・LAに1店舗を展開。さらにオリジナルプロダクトを世界30カ国以上で販売し、不動の人気商品へと成長させる。2024年1月、アパレルメーカーCLOUDYと共にアフリカ・ガーナに公立のバーバーアカデミーをオープン。オーセンティックなバーバーカルチャーを愛し、上質なメンズカット技術でつくるスタイルは、国内はもちろん海外からもリスペクトされている。
http://mr-brothers-cutclub.com
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)