男性アーティストを支えるメンズ専門ヘアメイク・大木利保。レディースサロン出身からトップクリエイターへ。「目の前の全力が未来をつくる」
ヘアメイクという仕事の魅力

――ヘアメイクの仕事の面白さは、どんなところにありますか?
同じアーティストでも、雑誌や広告、ライブなど媒体が変われば求められるヘアメイクもまったく違いますし、そのたびにデザインも変わります。ときには、自分が想像していなかった技術に挑戦することもあって、その都度勉強しながらデザインの幅を広げていける。そうやって自分自身が成長していく実感があるのは、とても面白いですね。
また、現場のスタッフみんなで一つの作品を作り上げながら、チームとしてステップアップしていける感覚も好きなところです。自分たちが手がけたヘアメイクによって、アーティストやタレントのモチベーションが上がったり、喜んでもらえたりする瞬間を見ると、本当にうれしいです。さらに、現場で得た経験や技術をサロンワークに活かせるのも、ヘアメイクの仕事ならではの魅力だと思っています。

――去年の『紅白歌合戦』も、ヘアメイクで行かれていたとか?
はい。グループのアーティストと俳優のヘアメイクを担当していて、スタッフ5人で現場に入りました。僕たちの役割は、アーティストが気持ちよくステージに立てる状態をつくること。そのためにも、ヘアメイクのことで余計な気を使わせないようにするのが大事だと思っています。仕上がりを完璧に整えておくことで、彼らは喉のケアやダンスなど、自分のパフォーマンスにだけ集中できます。僕たちの仕事は、そうした環境を整えることでもあるんですよね。
ヘアメイクは、自分から「やりたい」と選んでできる仕事ではなく、依頼があって初めて成立する仕事です。つまり、絶対的な信頼関係の上に成り立っている。だからこそ当日は、必ず満足してもらえるデザインを作らなければいけませんし、自分の仕事が彼らにとってプラスアルファの価値になることも求められます。

――スタッフ教育でも、そうしたマインドを大切にされていますか?
そうですね。アーティストやタレントの方々は、売れるために毎日ダンスや歌などハードなトレーニングを積み重ねています。だからこそ、本番の現場では中途半端な気持ちでヘアメイクに向き合うことは絶対にできません。僕たちも同じくらいの覚悟と熱量で挑むべきだと、スタッフには常に伝えています。普段のサロンワークの練習でも、どれだけ全力で取り組めるか。今できることに、どれだけ情熱を注げるかが大事だと思っています。今いるスタッフは全員ヘアメイク志望なので、この精神をしっかり受け継ぎながら、これからも育てていきたいですね。

- プロフィール
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大木 利保(おおきとしやす)/『CONTINUE OMOTESANDO』代表
千葉県出身。パリ総合美容専門学校卒業後、都内屈指の人気サロンに入社。アシスタント時代から撮影などのヘアメイク現場に同行し、下積みを重ねる。スタイリストデビュー後は依頼が増え、次第にメンズアーティストの仕事も激増。メンズ専門のヘアメイクにシフトし、2016年フリーランスに。2019年に恵比寿にサロン『CONTINUE』を出店し、2022年8月に表参道へ拡張移転。
Instagram:@continue_toshiyasuoki
(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)