訪問美容の世界をリアルインタビュー! 現役美容師に聞いた業界事情とは

サロンワークと並行して始めた訪問美容。お客さまを「知る」ことで、心に寄り添う対応を。-trip salon un. 斉藤絵美さん

 

 

trip salon un.

スタイリスト/斉藤絵美(さいとう えみ)

1985年生まれ埼玉県出身。都内美容室を経て、ヘアメイク会社に勤務。地元サロンに戻り、trip salon un.に入社。ダブルワークで3年ほど従事し、2021年より社員として勤務。サービスカスタマー部部長、新規事業推進部副部長を務める。美容師としてお客さまの心に寄り添うことを大切に、多くの方に訪問美容を知ってもらうため活動中。

 

訪問美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。

あるとき、母から「施設に入所していた祖父が認知症を発症し散髪を拒んでいるので、きてもらえないか」と依頼されたんです。そこで初めて訪問美容という働き方を知り、興味を持ちました。その経験から、ヘアサロンに勤務する美容師だけでなく、美容を求めている方の元を訪れ、今までの技術や知識を生かして喜んでもらえる場を広げていきたいと思ったのです。また、美容室にこられないお客さまのことを知ることで、サロンのお客さまにも「生涯顧客」として長くお付き合いをしていただける知識が身につくのではと思い、いろいろな可能性を試していきたいと考えました。

 

訪問美容師になるためにどのような勉強をされたのかを教えてください。

訪問美容師になるには専門知識が必要だと考え、今の会社に入る前に福祉理美容師の資格を取得しました。実地的な知識は、お客さまによって対応も異なるため、実際の現場で先輩からアドバイスを受けながら学んでいきました。また、現場を経験する中で、介護やケアを必要とする方や、介護の現場をもっと知りたいと思い、入社してから介護職員初任者研修も取得しています。私が働く会社では、介護や看護の専門職の方を招いての講習が定期的にあり、学び続けられる環境も充実しているんです。また、訪問美容というと高齢者介護のイメージが強いですが、未就学児を育てていらっしゃる方や障がいのあるお子さまの元へも訪問するため、それぞれに必要な基礎知識も持っていられるよう、日々学んでいます。

 

一般的なサロンワークと異なる点はなんですか?

訪問美容の特性から、関わるお客さまが高齢だったり、障がいがあったりする場合も多いため、お客さまのことを「知る」ことをとても大切にしています。在宅中の様子や、どのような経緯で訪問美容をご利用されるのかを事前にご家族にお伺いするなどして知識を深めることで、起こりうる危険を予測し、リスク回避に繋げています。特にご高齢者の場合、怪我や傷を負ってしまうと治るのに時間がかかり、それにより生活能力が下がってしまうことも。些細な危険も想像し、お客さまが通る導線に危険なものがないか、手の届く範囲に刃物がないかなど、リスクを未然に防ぐことには余念がありません。また、お客さまのお気持ちや、その方が歩んできた人生や歴史を知るために、コミュニケーションをしっかり取るように心がけています。そうすることで、お客さまの心に寄り添った対応ができると思っています。

 

訪問美容師をしている中で印象に残っているエピソードを教えてください。

病気でベッド上での生活を余儀なくされた、私と同年代のお客さまをカットさせていただいたときのことです。その方のお母さまに「娘の病気のことで泣いてばかりだった日もあったけど、娘をきっかけにたくさんの方に出会え、前向きな気持ちにさせてもらえた」とおっしゃっていただきました。お客さま親子のコミュニケーションの取り方や、絆を間近で感じ、訪問美容を親子でとても楽しみにしてくださっているというお声に、訪問美容師をしていてよかったなと心から感じる出来事でした。

 

仕事のやりがいは何ですか?

訪問美容では基本的に、美容室に行けない方の元を訪れます。お客さまが本当に私たちを求めてくださり、楽しみにしていてくださっていることをお聞きしたり、ご家族やケアをする方々からも感謝の言葉をいただくことが多々あります。さまざまな状況の中でも「きれいになりたい」「かっこよくありたい」「自分らしくありたい」という気持ちを、自分が持っている技術でお手伝いできることは、とてもやりがいになっています。また、お客さまの心身の状態によってご対応方法も変わるため、毎回学びが多いこともやりがいですね。 

 

小さいお子さまがいる方へ施術している様子

 

訪問美容師に興味がある美容師さんにアドバイスをお願いします!

今までと少し違うフィールドに一歩踏み出すことは、とても勇気がいると思います。私自身も、求人応募に電話をするまでにとても悩みました。しかし面接のとき、弊社の社長が楽しそうに訪問美容の仕事について話してくれたことや、現場でお客さまに接するスタッフの温かさ、いつも他者のことを想い動くチームワークに背中を押され、とても楽しく学びながら働けています。訪問美容は関わるお客さまや関係者の方々から多くのことを学び、人間的にも成長できる仕事です。目の前のお客さまを「素敵にしたい」という想いがあれば、サロンワークの延長で楽しみながらフィールドを広げられると思います。今後の美容人生を豊かにしてくれるスキルを、一緒に学びましょう!

 

>自身でセミナーを開催し、訪問美容のアドバイザーとしても活躍する佐々木祐太さんが語る、訪問美容のやりがいとは?

 

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