二十歳の頃、どう過ごしてた? siki/磯田基徳さんの二十歳の頃。
アプリ版『リクエストQJ』3月号で掲載中の「二十歳の頃。」をwebでも特別公開!
成人して、大人としての第一歩を踏み出す年齢であり、多くの美容師さんにとっては、美容師人生のスタートでもある二十歳。
今、業界で活躍するみなさんは、当時どんなことを考え、どんな日々を過ごしていたのでしょうか?
今回は、siki(シキ)代表の磯田基徳さんに二十歳の頃のお話を伺いました。
二十歳の頃、どう過ごしてた?
─二十歳の頃、磯田さんはどんなことを考えて過ごしていましたか?
僕は高校時代からずっと都内の有名店に通っていたんですよ。なので、専門時代からそのサロンに絶対に入ると決めていました。そのせいか、当時の友達曰く周りよりも意識は高かったみたいです。ただ、たしかにモチベーションはすごく高かったけど、授業をすごく頑張っていた記憶はありません(笑)。
─授業以外ではどんなことに力を入れていたのでしょうか?
とにかくファッションですね。その頃はSNSも無かったので、認知度を上げるなら雑誌がメインでしたし、雑誌に載ることは一つのステータスだったんです。おしゃれな服を着て、スナップに撮られて、知ってもらう。撮ってもらえるかは半分運だから、おしゃれして原宿や表参道に行って、通りを歩く。その一往復に懸けていました(笑)。
何回か撮られると編集部の方とも繋がりが出来るので、撮影に呼ばれるようになるんですよ。それが今でいうインフルエンサーみたいな感じで、そういう人たちが一目置かれるところはありましたね。
─アシスタント1年目はどうでしたか?
無事に念願の有名店から内定をもらって入社したものの…。入って4日で辞めようと思いました(笑)。
というのも、同期はみんなエリートかつ、雑誌で見ていた人たちばかり。かたや僕は、入社前のシャンプーレッスンなどもスムーズに受かるタイプではなかったですし、全体的に出遅れた感があって、辛かったのだと思います。
それでもなんとかと持ちこたえたのですが、2カ月経った時に、「よし辞めよう」と決意してしまって。店長に泣きながら「もう辞めます」と話したのですが、「もったいないよ」と引き留めてもらい、そこでも踏みとどまりました。
─そこから、状況が変わるきっかけがあったのでしょうか?
1年目の9月に開催された社内コンペで、気持ちが少し変わりました。僕たちの代から店舗の予選で勝ち上がれば本選に出られるというルールに代わり、アシスタントも参加することになったんです。とは言っても、コンペの準備をし始めたのが入社3カ月。コテの使い方すら分からない状態で、まずは、フォワードとリバースのやり方を教えてもらうところから始まりました。
そうしてなんとか仕上げて提出したスタイルが、思いがけず店舗で2位になり、本選に出場することに。本選では賞は獲れませんでしたが、その経験は僕にとって一つのターニングポイントになりました。
僕はそれまで、自分のことをすごく不器用だと思っていたんですよ。でも、コンペの前に相談した先輩には「俺は磯田を不器用だと思ったことは一度もないよ」と言ってもらって、実際に結果も出た。自分を不器用だと思い込みすぎていたことに気付いたのが、そのタイミングだったんです。
そこから、同じ年の12月にトップスタイリストのメインアシスタントに抜擢されたことも大きな経験になりましたね。
それまでは、ひたすらシャンプー台にいて、気づいたら一日が終わっているような毎日だったんです。シャンプーも楽しいけど、やっぱり理想は違うじゃないですか。くすぶっていた中でメインアシスタントに指名されて、1年生がメインにつくこと自体が異例でしたし、すごく驚きましたね。まだ技術はなかったので、お客さまに対する姿勢など、内面的なものを評価してもらったのかなと思います。そこから、一気に仕事が楽しくなりました。
- 1 2