余命半年と宣告された美容師。ただいま、後悔しない生き方を爆走中  ーL.O.G SHIBUYA   藤野 慎太郎さん 前編ー

ステージ3B。余命半年と告知される。

 

 

ステージ3Bは、精巣ガンがリンパを通って、全身に転移している状態のことです。首や肺にも転移していたので、まずはガンの元となっている片方の精巣摘出手術を行うことに。その後、全身に転移したガンに対して、抗がん剤で治療を行うということになりました。

 

ただ僕の場合は悪性度が高かったため、抗がん剤が効かなかった場合は、余命半年だとお医者さんから伝えられました。ちなみにステージ3Bの一つ上のランクがステージ3Cで、ガン細胞が脳や骨にまで転移している状態のこと。もしステージ3Cと言われていたら絶望的だったかもしれません。

 

ガン宣告から、精巣の摘出手術まではあっという間でした。ただそのときは痛みに苦しめられていて、仕事ものことも生活のことも、何も考えられませんでした。ただこの痛みの原因を治したい、という気持ちだけでした。

 

 

これが抗ガン剤治療! 壮絶な痛みを味わった生き地獄

 

 

しかし本当の苦しみは、手術後の抗がん剤治療なんですよね。最初3、4日くらいかけて全身に薬を入れていくのですが、その直後から全身がだるくなり、吐き気が襲ってきます。何度も何度も吐き続けていたら、しまいには薄緑の胆汁が出てくるんです。髪の毛も抜けました。治療に入る前、あらかじめ坊主頭にしていたのですが、短い毛が全部抜けきって枕の上がザラザラする。また味覚もおかしくなっていて、何を食べても味がしないんです。全身は点滴などたくさんの管でつながれ、身動きができず、ずっと寝たきりの状態でした。

 

治療の日と治療を行わない日を組み合わせた1~2週間程度の周期を“クール”という単位で治療を設定するのですが、僕の場合は、4クールという期間が設定されました。約半年間に渡って抗ガン剤治療が行われ、精神的にも肉体的にもつらい試練が続きました。そんな抗ガン剤治療でしたが、幸いなことに一定の効果が発揮され、晴れて退院を迎えることができたんです。

 

後編につづく>>

 

プロフィール
L.O.G SHIBUYA 
店長 藤野 慎太郎(ふじの しんたろう)

栃木県出身。足利デザイン・ビューティ専門学校卒業。栃木県内のサロンに勤務し、売れっ子美容師として活躍していた24歳のとき、精巣ガンを発症。半年間に入院生活を経て、再び美容師に復帰するも、がんが再発。二度目の手術を終えた後、東京で働く夢を叶えるため、家族と共に上京。27歳でL.O.G SHIBUYAに入社。有名モデルをはじめ、メンズ顧客の間でも人気を集める。また男性誌のヘアページも精力的に担当するほか、自身のインスタグラムでもトレンドヘアを発信中。2018年からはL.O.G SHIBUYAの店長に就任。
Instagram:@logshinta

https://www.u-realm.com/shibuya

(撮影:小原 聡太)

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