fifth新ブランド『soigne』代表・龍正也。ABBEYで16年。愛した場所を離れて選んだ、友情と挑戦の決断
お客さまへの“想い”をもった技術集団でありたい
――表参道駅からも近く、大きな窓からの景色が印象的な空間ですね。
10軒ほど物件を見ましたが、ここ以外は考えられないほど、ひと目で気に入りました。内装はホテルライクを意識し、待合も含めてゆったりとスペースを確保しています。お客さまにリラックスしていただけるよう、本格的なスパメニューにも対応できるシャンプーブースも設けています。

――オープニングメンバーは、どのように集めたのでしょうか?
いろいろな方からの紹介ですね。現在はスタイリスト6名で、アシスタント6名の計12名で営業しています。実は店舗完成までの約半年間は、fifthが借りたシェアサロンで、fifthから派遣されたヘルプスタッフと共に、主に既存のお客さまを中心に営業していました。それまで現場のサロンワークしか経験してこなかった僕にとって、その期間は、会計や材料の発注など、運営に関わる業務を初めて経験する時間でもあったんです。そのなかで強く感じたのが、スタッフの存在のありがたさでした。

現在、店長を務めてくれているスタッフの立花圭佑は、もともとフリーランスとしての独立も考えていた中で、その道を選ばずに入社を決めてくれましたし、店舗運営の経験が豊富なベテランスタッフも加わってくれました。バックグラウンドも価値観も異なるメンバーをまとめ、チームとして前に進めてくれていることには、感謝しかありません。人生を賭けて転職を決断してくれたスタッフばかりだからこそ、「soigneに入ってよかった」と心から思ってもらえるように、一人ひとりと、これからも全力で向き合っていきたいと思っています。

――今後、さらにスタッフも増えていくと思いますが、指導で大切にしていることは?
私が大切にしているのは、技術そのもの以上に、“想いを持って行動すること”です。
ホスピタリティとは、マニュアルをなぞることではなく、相手を思う気持ちが行動に表れているかどうか。その一点に尽きると考えています。だからこそ、どんな場面でも「気持ちだけは忘れないでほしい」と伝えていますね。
スタッフの姿勢がもっとも如実に表れるのは、日々の掃除だと思っています。指示をしなくても、「もう少しきれいにしよう」と自発的に動いてくれる姿を見ると、意識はきちんと共有できていると感じます。そうした積み重ねが、お客さまからの評価につながり、結果としてスタッフ自身の想いも、より深まっていくはずです。
現在はベテランスタイリストが中心の体制ですが、アシスタントがデビューしていけば、客層も自然と広がっていくでしょう。私自身のお客さまは40代以上の方が多いものの、年齢や性別に制限を設けるつもりはありません。若い方も、メンズのお客さまも大歓迎です。特定の層に寄せるのではなく、オールマイティな技術力を土台に、ハイクオリティを求めるお客さま一人ひとりに、きちんと応えていきたいと考えています。

――soigneの今後が楽しみです!
ありがとうございます。既存のお客さまからも「本当にいい店になったね」と言っていただけるサロンを目指していきたいですね。お客さまはもちろんですが、一緒に働くスタッフを幸せにすることが、結果としてfifthへの貢献にもつながると考えています。
そして、自分自身が成果を出し続けることで、この土台を築いてくれたABBEYにも、きちんと恩返しができたらと思っています。今の自分があるのはABBEYでの経験があってこそ。だからこそ、一日も早く結果を形にして、感謝を伝えに行きたいですね。

- プロフィール
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龍 正也(りゅう・せいや)さん
soigne 代表
福岡県出身。ハリウッドワールド美容専門学校卒業後、新卒でABBEYに入社。ABBEY在籍時にはリピート率92%を誇り、再現性の高いカットで絶大な人気を博す。店長や店舗代表を務めるなど貢献し、16年間勤務したのち2024年に退社。2025年5月、fifthグループの新ブランド『soigne』代表に就任。
Instagram:@ryuseiya_soigne
(文/織田みゆき 撮影/松林真幸 MIKAN inc)