大事なのは“場所”より“つながり”。場所を越えてつながるコミュニティへ

―実際、undercurrentではどんな美容師さんが働いているんですか？サロンワークだけでなくヘアメイク志望者や海外経験者など、多様な方が働いていると聞きました。

Kanako：スタイリストは5名いて、私がパリにいるときに出会った人や、ロンドンのショーで知り合った人、パリと東京を行き来しながら働いている人、TAKAIの現場のアシスタントとサロンワークを兼ねて働いている人もいます。作っているスタイルや顧客の年齢層も本当にバラバラで、でも、それがいいと思っています。

TAKAI：働き方もって色々あっていい、と。例えば、美容師をやりながらカフェでも働きたいから週1でサロンワークしたい、という人がいてもいいし、子育てしながら自分のペースで働くのも自然だと思います。

Kanako：私たちは働くことが大好きで常に動いていたいタイプですが、スタッフが同じ考えをもつ必要はないですよね（笑）。“こうじゃないといけない”という考えは、undercurrentでは持ちたくないんです。

―Kanakoさんの働き方として、年間でどれくらいパリに滞在しているのでしょうか？

Kanako：今年は日本に戻ってくるのが年に3〜4回ほどで、合計すると3〜4カ月くらいは日本にいることになりますね。

私は美容師ではないのでサロンワークはできないんです。だからこの場所で何をするのかというと、美容師さん個々と関わっていって、美容師ではない私の立場から何か有用な話ができれば……と思います。「美容師じゃないのに」と思われるかもしれませんが、それもいいのかな、と。

他にも、同業のヘアメイクさんや、個人のセルフメイクを一緒にアップデートするセミナーも行っています。

―undercurrentとしての今後の展望はありますか？

Kanako：いきなり大きなことはできませんが、徐々に発展させていって多目的サロンというか、複合施設のような場所を作れたらいいですね。

TAKAI：メンズ特化のアイブロウサロンの構想もあります。メンズ美容はこれからもっと伸びる領域。私自身のメンズカルチャーと相性が良いという強みも生かせるのかな、と。

Kanako：将来的にはパリにも店舗があったら素敵だなと思います。でも大事なのは“場所”より“つながり”。undercurrentという名前の通り、水面下でつながりながら、それぞれの場所で自立した人たちがまたここに戻ってこられる──そんな関係性を育てていきたいですね。

プロフィール

ヘアスタイリスト／TAKAI

高校在学中より通信課程で美容師免許を取得。ヘアサロン「Studio V」に入社後、撮影分野へ活動の場を広げるべく同サロンを退社し、hair stylist KANADA氏に師事。独立後は、雑誌やファッションブランド、広告など多岐にわたる撮影に携わりながら、パリでコレクションのチームにも参加するなど、積極的にクリエイションの幅を広げていく。国内アーティストのKing Gnu、藤井風、SIRUP、Snow Manをはじめとする俳優・女優・アーティストからも厚い信頼を寄せられる存在となっている。2023年1月にmakeup artistのKanako Yoshidaと共にヘアサロンundercurrentを代官山にオープンさせる。

Instagram:＠rr_takai_

メイクアップアーティスト／Kanako Yoshida

アメリカの高校へ留学した事を機にメイクの道を本格的に目指す。大阪でメイクを学び、卒業後、渡英。フリーランスとして現場の経験を得て2011年にロンドンからパリへ移り、加茂克也氏と出会う。翌年、東京へ帰国後は加茂氏のチームにメイク兼オーガナイザーとし参加しながら自身のメイクアップアーティストとしての活動も継続する。幅広いジャンルの雑誌やファッションブランド撮影、広告撮影を中心にタレントのメイクも担当。5年半、東京で土壌を築き2017年末に再度渡英。CHANEL global creative makeup up and colour designer のLucia Picaの日本人初のファーストアシスタントとしてCHANELのシーズンコスメの色の開発、キャンペーンの撮影、ショーのメイク等、3年間CHANELで経験を積み2020年末独立。現在はパリを拠点にメンズ、レディース共に数々のコレクションのメイクを手がけ、日本のコスメブランドのアドバイザーを務めるなどよりグローバルに活動を展開中。またhair stylistのTAKAIと共にヘアサロンundercurrentを2023年1月に代官山にオープンさせる。

Instagram: @canakoxx