理想の女性像のライフスタイルを実践して築いたブランディング TETRO 宗万夏子さん―トレンドメーカーの「ブレイン解剖」
ライフスタイルを変えると、打ち出すヘアも変わる――その真理とは?
ライフスタイルを変えたことで、打ち出すヘアスタイルにもかなり変化がありました。例えば、私はもともとスポーツをするタイプの人間ではなかったのですが、「この年代の充実した女性は、運動もしているんだ!」と知って、自分もピラティスを始めてみたんです。そこで気づくことがたくさんあったんですよ。「運動をしていると、こんな服が着たくなる。それにヘアスタイルを合わせるとしたら、こんなものがいいんじゃないか」と、目指している女性像の好みへの解像度が上がっていきました。
さらにピラティスに関しては、他にも効果がありました。体の歪みを矯正するのはもちろんなのですが、体のメンテナンスをすると、年齢とともに身に着けなくなっていたファッションにもまた挑戦したくなって、選ぶ服の幅が広がったんです。
すると、ヘアスタイルとの新しいバランスにも気づくようになって、今まで地味に見えていたものが華やかに見え始めて…お客さまへの提案の引き出しにもつながっていきました。
こうした経験から、ライフスタイルを目指す女性像に近づけることで、打ち出すスタイルにもブレがなくなるんだとつくづく感じましたね。逆に、自分自身に迷いがあると、お客さまもブレてしまうんですよ。確固たるものを持っていると、例えば、ロングからばっさりボブにしてイメチェンしたいという方にも、「確かに、今はこういう気分だよね」と同じ目線で好きなものを提案できるので、お客さまの安心感も増していくんだと思います。
セルフブランディングへの迷いは、周りの声を聞きすぎているからかも!?
TETROのスタッフは、それぞれ得意なことや好きなものがバラバラで、スタイルもカルチャーも良いものをたくさん共有してもらえます。私が好きなものは、ボスを始め他のスタッフが私よりも詳しいくらいなので、「宗万のお客さまだったら、こういうヘアスタイルも好きそうじゃない?」と、カットの仕方を教えてもらうこともあるんですよ。
私はTETROの中ではいちばん後輩なのですが、先輩たちが勧めてくれるものは本当にいいものばかりなんですよね。どれも魅力的で、だからこそ、TETROで働き始めた当初は、自分の好きなものがわからなくなってしまったんだと思います。
今、自分のブランディングで迷っている美容師さんがいるとしたら、いろいろな人の意見を聞きすぎてしまっているのかもしれませんね。そんなときは、一度、周りの声をシャットダウンして、自分のやりたいようにするのも一つの方法だと思います。実は私も、「一旦これ以上何も言わないで、勝手にやらせてください!」と言って、ライフスタイルに落とし込んでいくブランディングを見つけていきました(笑)。頭がいっぱいになるくらい周りの人の言葉を聞いて、たくさん良いものを吸収したら、そこからは自分一人でじっくり考えてみるのもオススメですよ。

- プロフィール
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TETRO/スタイリスト
宗万夏子(そうまん なつこ)
北海道出身。専門学校エビスビューティカレッジ卒業後、都内の有名店に新卒で入社。スタイリストデビューを経てTETROの一員に。サロンワークのみならず、ヘアメイクとしても活躍したのち、現在はサロンワークに注力する。ライフスタイルに寄り添ったヘアを提案し、同世代を中心に女性からの支持を集める。
Instagram:@souman_natsuko
(文/須川奈津江 撮影/Yui Ogano)
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