生活感も清潔感も、美容師の一部。プライベートも含めたブランディングで信頼を築くSOIE Kaoriさんー天職WOMANー

表参道のSOIE(ソワ)で店長として活躍するKaori(カオリ)さんは、今年で美容師15年目。新卒で入社した中型サロンでデビュー以来、自分なりの美容師像を見つけようと何度も立ち止まり、試行錯誤を重ねてきたそうです。
その過程で、美容師とアパレルの二足のわらじを経験。お客さまに支えられながら続ける中で見つけたのは、「ナチュラルなボブスタイル」と「丁寧な暮らし」を重ね合わせる生き方でした。
美容師を続けるべきか悩んでいる方や、身近に女性美容師としてのロールモデルがいない、と道に迷いそうな方にこそ、Kaoriさんの歩みを届けたい。そんな思いが込められた記事です。
ロールモデル不在の若手時代。自分なりの美容師像を求めて模索するように

私が美容師を志すようになったのは、中学生の頃です。もともと強いくせ毛で、髪の毛に悩みを抱えていた私は、美容室で「すごい髪だね」と言われて傷ついたことがありました。けれど、その経験から「同じように悩んでいる人は絶対にいるはず。私がそんな人たちの助けになりたい」と、美容師を目指すことにしたんです。
出身は栃木なのですが、父の勧めで専門学校に入るタイミングで上京しました。新卒で就職先に選んだのは、銀座と表参道に店舗を持つ中規模のサロンです。当時、美容師を続けていくのに必要なのはベーシックな技術力だと考えていたので、その技術を丁寧に学べるところで働きたいと思い入社しました。
有名サロンへの憧れもありましたが、その頃は300〜400人の志望者が面接を受けるためにサロンの前に列を成す……という時代で。その光景が衝撃的で、その中から採用を勝ち取るために行動する勇気は、10代の私にはありませんでした。

アシスタント期間は約3年です。当時はちょうど、スタイリストデビューまでのカリキュラムが6〜7年から3〜4年へと短縮される過渡期でした。先輩方が長い下積みを経てデビューしている中で、自分が早めに合格してしまったことには正直とまどいもありましたね。
ただ、アシスタント期間は大変なことも多かったですが、「目指すべきゴールがはっきりしている」という点では取り組みやすかったのだと思います。というのも、スタイリストになった瞬間から明確なカリキュラムがなくなり、次に自分が何を目指せばいいのか分からなくなってしまったからです。ちょうどその頃、憧れの先輩たちも次々と辞めていってしまって…。気づけば20代や30代の中堅スタッフが減り、自分のロールモデルとなる存在を見失ったような感覚でした。
その経験を経て、30代を目前にした時に「自分はこのままでいいのか。10年後、20年後はどうしていけばいいのか」と将来像を模索するようになったんです。