生活感も清潔感も、美容師の一部。プライベートも含めたブランディングで信頼を築くSOIE Kaoriさんー天職WOMANー
アパレルと美容師の二足のわらじ。美容師を辞めなかったのは、お客さまがいたからこそ

実はその頃、「もう美容師を辞めようかな」と考えたこともありました。辞めて何をしようか思いめぐらせて「デスクワークは向いていなそう。人と関われて美容師の経験を活かせるのはアイリストとか?」と、具体的なことまで考えていたくらいだったんです。
でも、そこで頭に浮かんできたのは、お客さまの顔だったんですよね。モデルさんからお客さまになって通ってくれた方、アシスタントでシャンプー指名をもらってからずっと来てくれていた方、歴代の先輩から引き継いで「あなた以外にお願いできない」と言ってくれた方……。決して多くのお客さまを抱えていたわけではなかったのですが、一人でも私を求めて来てくれる人がいるうちは、やっぱり美容師を続けたいと思いました。

一方で、このまま展望なく働いていていいのかは変わらず悩んでいて。悩み抜いた末に私はフリーランスへ転身し、美容師と同時にアパレル業界で働くというWワークを始めることにしました。新しい世界に飛び込めば、新しいお客さまにも会えるのではないかという想いからの挑戦でした。
アパレルの世界に足を踏み入れると、美容師だけやっていた時には得られなかった学びがありました。例えば「もっとおしゃれを追求して」「世界観を大事にして」というアドバイスを受け、悔しさをバネにしながらブランディングについて学ぶようになったことは大きなターニングポイントでしたね。私が働いていたのはジュエリーショップだったのですが、美しさをどう見せるか、世界観をどう構築するか、ジュエリーやアパレル業界の人たちと関わる中で、たくさんのことを吸収しました。
ただ同時に、美容師としては中途半端になってしまった感覚もありました。やはり、毎日髪を触り続けていたときの自分の方が圧倒的にうまかったんですよ。二足のわらじは新しい学びをもたらした一方で、技術に対する危機感も抱かせることにもなったんですよね。1年半ほどWワークを続けた後、これからは美容師に絞って働こうと決意を固めました。

今所属しているSOIEに出会ったのは2019年のこと。当時、オープンして間もないSOIEにお客さまとしてカラーをしに来たんです。そのときに「こんなにドキドキするサロンは初めて」という直感的なときめきと、ここなら自分のお客さまも喜んでくれるという確信があり、ここに拠点を移すことにしました。
実は私、SOIEに所属するまでは自分の作りたいスタイルの作品撮りをしたことがほとんどなかったんですよ。作るスタイル自体も、前社ではコンサバな雰囲気のものが多かったのですが、SOIEではナチュラルな雰囲気やボブスタイルを自分の打ち出しに決めて、作品撮りにも取り組むようになりました。
SOIEに入社したとき、私は「0からのスタート」という心持ちだったんです。でも、自分の好きなものや、来ていただきたいお客さまを意識した内容で発信を続けていると、売上が安定していって。きちんと見ていてくださる方はいるんだなと、本当にありがたかったですね。
>丁寧な暮らしを発信することは、大人の女性に共感してもらえるブランディングの一部