自分を整えるのは、お客さまのため。『無理してでも頑張る働き方』を手放して新たな道を模索する、表参道NOUNフリーランス美容師・RENAさん─天職WOMAN─
「一人ひとりと丁寧に向き合いたい」――フリーランスという選択
前社で8年間勤めるなかで、ありがたいことに多くの顧客に恵まれました。けれど30歳を目前にして、「自分の理想の美容師像とは何だろう」と改めて考えるようになったんです。
私が美容師を目指したきっかけは、小学生のころに出会った地元の美容師さん。その方は、仕事の枠を超えて幼い私をライブに連れて行ってくれるような人で、“友人でも家族でもないけど、会うと元気になれる人”だったんです。この道に進んだ原点を思い出したとき、マンツーマンでお客さまと丁寧に向き合える働き方を選びたいと感じました。
独立には不安もありました。それでも、お客さまに「応援するよ」「絶対うまくいくよ」と背中を押していただき、決心がつきましたね。ありがたいことに、多くの方が今も変わらず通ってくださっていて、本当に支えられています。
サロンを選ぶ際に特に重視していたのは、「半個室ではなく開放的な空間」「既存客のアクセスの良さ」という2点。最終的にご縁を感じたのが、表参道のNOUNでした。
「頑張りすぎないこと」を選んで、仕事がもっと楽しくなった
独立1年目は、毎日12時間サロンに立ち続けていました。当たり前ですが、マンツーマンになると予約枠が限られます。前社から来てくださるお客さまの存在が本当にありがたく、お断りしたくないという気持ちが強かったので「予約枠を増やすには営業時間を伸ばすしかない！」と、気づけば仕事が8割、プライベートが2割の生活に。トレンドを追う仕事なのにインプットの時間すらほとんどなく、友人からも「大丈夫？なんか疲れてない？」と心配されてしまったんです。その時にハッと気付きました。このままではお客さまにも伝わってしまうな、と。
そこで、「無理してでも頑張る」を手放し、働き方を見直しました。営業時間を9時間に短縮し、仕事とプライベートを50：50に整える。それを実践していくと、心も体も見違えるほど軽くなったんです。
現在は、大学生から50代の方まで幅広いお客さまがいらっしゃいます。私のところに来てくださるお客さまは、別のお客さまの紹介で私を知ったという方も多いんですよ。レングス、カラーを問わずオールジャンルの施術を任せていただけてありがたいですね。お客さま一人ひとりに似合うスタイルを一緒に探すことが、今は一番の楽しみです。
旅とアートがくれる“インプット”が、感性を育ててくれる
プライベートでは、旅とカメラがライフワークです。5年前に友人たちと「カメラ部」を作り、定期的に小旅行へ出かけています。先日は台湾を訪れ、愛用のSONY一眼レフで美しい風景を撮影してきました。
家ではゆっくりお茶を飲みながら、その日の気持ちをノートに書き出すのが日課です。映画や写真集、美術館、音楽…。気になるものはできるだけ体感して、感性を耕すようにしていますね。そうして得たインプットを、お客さまとの会話やスタイル提案に自然と活かせるのが嬉しいですし、とても楽しいんです。
仕事の面では、新しい商材や技術にも積極的にトライしています。お客さまに喜んでいただける瞬間が何よりのモチベーションになりますし、常にアンテナを張りながら、より良い提案ができる美容師でありたいですね。
今後は今のワークライフバランスを大切にしながら、もう一段上を目指したいと考えています。いつかは、自分のサロンを持つことが夢ですね。自分のペースで、実現に向けて準備していければと思っています。
私はこれまでの経験を経て、お客さまにとって心地よい時間を届けるためには、まず自分自身が満たされていることが必要だと身を以て知ることができました。だからこそ、これからも「整えること」を大切に、仕事も人生も丁寧に積み重ねていきたいと思います。
- プロフィール
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NOUN所属
フリーランス美容師／RENA（レナ）
東京都出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業後、新卒で都内人気店に入社。多忙を極める中で腰痛を発症し、1年後に退社。個人店に転職し、3年後にスタイリストデビュー。ハイトーンカラーを強みに5年間経験を積み、店長も務める。2022年よりフリーランス。旅、カメラが趣味。
Instagram：@renatakada07
（文／織田みゆき 撮影／泉山美代子）
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