倉田聡子さんが産休復帰と共にNEWサロンBehövをOPEN!「原宿のおばあちゃん美容師」になっても、誰かの“必要”でありたい。
みんなに必要とされる場所をつくりたい

内装にも「誰かに必要とされたい」という想いを込めています。白を基調にしたミニマルな空間で、初めての方でも落ち着けるように清潔感と柔らかさを意識しています。でも、ドアノブやカラーブース、ロッカーの中など、細部に小さな遊び心を散りばめています。
なかでも特にこだわったのは、カラー施術のしやすさです。わたしのお客さまはハイトーンカラーをする方が多いため、自然光の入り方や照明の配置、ワゴンや動線の取りやすさには徹底的にこだわりました。施術エリアとシャンプーエリアとの距離感も絶妙に調整し、無理なく移動できるようにしています。カラーブースもあえて見える場所することで、綺麗な状態が保てるようになっています。私はお話しながら接客をするスタイルなので、カラー剤を作りにいったり、何かとりにいく時も常に姿が見えて、お客さまをフロアに一人にしない設計です。

私は週6日、朝9時から夕方5時半までサロンに立っています。これは、子どもの保育園のお迎え時間に合わせてのこと。限られた時間のなかでも、質の高い技術とサービスを提供するために動線やオペレーションも工夫をしました。ちょうど夫のサロンでフリーランスになりたいというスタッフがでて、一緒に働くことになったのですが、その方はもう少し遅くまでサロンワークをしていたりと、柔軟に運営できる体制を整えています。もうすぐ(取材は5月末)アシスタントも一人はいってくるのでどうなるのか楽しみにしています。夫とは、送り迎えや休日の過ごし方など、日々分担を話し合いながら、なんとかやりくりしています。子どもが体調を崩したときなどは、夫が先に帰ってくれることもあり、本当に助かっています。
おばあちゃん美容師になっても、この店で立ち続けていたい

まだ工事が始まったばかりの頃、近所の方に「ここ、あのお店の跡でしょ?また誰か入ったのね」と声をかけられたとき、「私はこの場所の歴史の続きを担うんだ」と身が引き締まる思いがしました。Behövが誰かの「必要な場所」であり続けること。それは私自身が「必要とされる存在」であり続けることにもつながっている気がします。
30年後、私は原宿の「おばあちゃん美容師」になって、今と変わらずこのサロンに立っていたいと思っています。かつて飲食店を支えていた地域の方々のように、私もこの場所に根を張って、街に寄り添いたい。これかも自分の全力ペースで、私らしい美容師人生を歩んでいきたいと思います。

- プロフィール
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Behöv(ベホブ)オーナースタイリスト
倉田 聡子(クラタ サトコ)
東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒業後、都内サロンを経て、27歳で「THE REMMY」に入社。アシスタントから再出発し、スタイリスト昇格後は繊細なブリーチワークやショートヘアの提案力が注目を集める。「#坊主女子」などの個性派スタイルを打ち出し、30〜40代の多くのお客さまから支持を得る。2025年5月、原宿・神宮前に自身のサロン「Behöv(ベホブ)」をオープン。出産を経て、育児と仕事を両立しながら、さらにパワーアップした美容師人生を邁進している。
Instagram:@sat0k0_k
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)