月に一度は、自分を徹底的に整える。美しくなるのは、美容師の準備運動。 -NORA Journey 阿形聡美の習慣-【後編】
共感だけにとどまらない……美術館とファッションで磨く感性

美容師として経験を重ねていくにつれ、私が培った知見をどうお客さまのために活かせるのかを考えるようになりました。お客さまの多くは、私と同じ世代の方々です。子育ての大変さや時間の制約、ファッションの悩み……共感できることが本当に多いです。共感できるからこそ、「ここだけ押さえておけば大丈夫」というアドバイスに説得力が出るんだと思います。
ただし、共感力だけに頼っていては、表参道という感度の高い場所では通用しません。やっぱり常に感性をアップデートし続けないと、お客さまに新しい提案ができません。そのために私が意識しているのが、美術館やファッションに触れることです。
子どもが4歳になって、一緒に美術館に行けるようになってきました。最近は没入型展覧会「クリムト・アライブ」を見に行きましたが、映像演出があるので娘も楽しめて、「あ、これなら子供と一緒に文化体験を一緒に積むことができる」と実感しました。

私自身も小さいころから美術館や博物館に連れて行ってもらって、それが色彩感覚や「美しい」と思う心に影響していると思うんです。だから娘にも同じ体験をさせたいし、自分の感性を磨き直す意味でも続けていきたいですね。
ファッションについては悩みが尽きないですね。若い子のトレンドをそのまま真似すると無理があるし、かといってコンサバに寄りすぎると髪とのバランスで老け見えする気がするし。でも私はもともと古着が好きだったので、もう少し落ち着いたらまた古着屋巡りを再開したいなと思っています。個性のある素材やシルエットを見つける楽しみを、また取り戻したいですね。