酪農家の世界線もあった!? GOALDプロデューサー・室井聖也、24歳。農業高校から、一気に美容トレンドの最前線へ。”異次元レベル”の技術を手にするまで
センスは天性のもの?「髪を切る」より「髪型を作る」
――学生時代は、どんなタイプでしたか?
髪型のおしゃれは好きでしたが、農業高校で牛の勉強しかしていなかったので、ファッションには本当に疎かったです。上京した当初は、周りが全員キラキラして見えて、「マジで服がダサい」と言われることもありました(笑)。それで「ファッションも頑張ろう」と思い、授業後に原宿エリアのお店を回って、感性を磨くようにしていました。

――カットのセンスは、どこで磨いたのでしょう?
YouTubeなどでカット動画を見たことはほとんどなくて。ただ、美術や図工は得意でした。髪を「切る」というより、「髪型を作る」感覚で、見よう見まねでやっていたんです。当時の写真を見返すと、今でも「意外といいな」と思えるので、もともとセンスはあったのかもしれません。友達のオーダーに近づけつつ、似合わせも感覚的に考えていました。学生の頃からよく言われますが、天職だと思います。
――就職活動では、名だたる有名メンズサロンからオファーもあったそうですね。
ありがたいことに、いくつかのサロンからお声がけをいただいていました。どの環境を選んだとしても、美容師としてやるべきことに全力で向き合い、技術を磨き続けていく覚悟は変わりませんでした。そんな中、実際に髪を切りに行ったGOALDで感じた“直感”が、最終的な決め手になりました。空間に漂うオーラや雰囲気が別格で、強く心を惹きつけられたんです。当時のGOALDは創業1年目。スタッフ数もまだ少なく、これから大きく飛躍していくであろうポテンシャルに魅力を感じました。結果として、260人の応募者の中から4人のみという、倍率約60倍の採用枠で入社することができました。

入社1年目からスタイリングに入客。体調に異変も…
――新卒2期生として入社され、1年目はどんな日々でしたか?
最初は中村さんをはじめ、数々のスーパースタイリストのチームを、半年ほど転々としていました。入社当日から中村さんのお客さまのスタイリングをすべて任せていただいていたので、とにかくセットしまくっていましたね。その後は1年半ほど岩城(岩城仁/現・GOALD代表取締役)に専属で付いていました。カリキュラムは1年目にすべて終わらせ、2年目からはカットモデルを施術しながら技術力を高めていきました。

――アシスタント時代から、すでに指名が月100名以上あったそうですね。
はい。カット以外のメニューでは指名をいただいていたので、1日に7〜10人ほど担当していました。丸2年間アシスタントを経験してスタイリストデビューしたのですが、1ヵ月分の予約がすぐに埋まり、今日まで一度も予約が空いたことはありません。おかげさまで、売上もそこからずっと継続させていただいています。
――かなりハードな日々だったのでは?
正直、壁だらけでした。入社1年目は記憶がないほど忙しくて、スタイリストの背中に必死でしがみつきながら追いかけている状態でした。バックルームに戻る時間もないほど忙しいサロンワークで、体が悲鳴をあげていたようです。短期間で体重が9kgほど落ちてしまって。気持ちの面では「まだいける」と思っていたのですが、体力的には限界がきていましたね。
歴代最速でプロデューサーに昇格。指名売上1位も継続中
――そんな大変な時期を乗り越えて、3年目にスタイリストデビュー。社内歴代最速でトップスタイリストに昇格し、1年未満で売上1位になったそうですね。
おかげさまで、売上トップは今も継続させていただいています。プロデューサーになったのは、デビューから1年半ほど経った頃でした。GOALDの顔としての立ち位置ではありますが、自分自身としては、トレンドを発信することや日々の施術、顧客満足度など、自分がやるべきことに真剣に向き合っている感覚のほうが強いです。役職そのものを強く意識しているわけではありません。

――新規のお客さまも、毎月150名以上来店されているとか。
本当に感謝しかありません。デビュー半年でヘアショーに出演し、サロンワークでも枠数を増やして担当するようになりました。その後、本店から神南店への異動を機に、さらにサロンワークに専念できる環境になりました。SNSについても、デビューしてから「1日1投稿以上は必ず続ける」と決めて、ずっと継続しています。リール動画では100万回、1000万回再生を超えるものも出てきて、ありがたいことにお客さまやインフルエンサーの方々にも多く来ていただいています。
――カット料金についても教えてください。
カットは8,800円で、土日は9,900円です。予約枠は1ヵ月に1回開けているのですが、常時350名ほどの方が待機してくださっていて、速攻で埋まってしまいます。サロンワークではアシスタント3名についてもらい、基本は5席、多いときは8席を使っています。
僕は昔から、現状に満足しない性格なんです。日本一になったときも、スタイリストデビューしたときも、「ここからだ」と思っていましたし、ヘアショーでポジティブな声をいただいても、「それはそのときの自分」とすぐに気持ちが切り替わるんです。

メンズ美容業界を牽引していく存在になりたい
――そんな室井さんの今後についても気になります。独立は視野に入っていますか?
デビューからわずか3ヵ月の頃、フランチャイズという形での独立を勧めていただいたこともありました。けれど、僕はその道を選びませんでした。いつでも、どんな選択肢にも手を伸ばせる状態でいること。それこそが、いちばんの「自由」だと思っているからです。だから今は、目先の近道よりも、将来の可能性を広げることを優先し、妥協せず、昨日の自分を超えるつもりで毎日を更新し続けています。
一年後に振り返ったとき、「確実に成長している」と胸を張って言える自分でいたい。その想いだけは、ずっと揺らいでいません。目標を細かく設定するよりも、今この瞬間に全力を注ぐ。その積み重ねが、必ず結果につながると信じてやってきました。そして気づけば、高校生だった頃の自分には想像もできなかった景色が、今、目の前に広がっています。

自分が発信した「フェザーショート」がトレンドとなって、芸能人の方にも選んでいただけた瞬間は、言葉にならないほどの感激がありました。お客さまに心から喜んでいただきながら、業界の最前線で挑戦し続けること。30歳、35歳と年齢を重ねてもなお、トレンドを生み出し続け、「メンズ美容業界のリーダー」と自然に認識される存在になることが、今の目標です。
学生時代は、純粋に「髪型をつくる技術者」であることの楽しさに夢中でした。けれど実際に美容師として現場に立ち、お客さまと向き合う中で、この仕事は技術以上に、人との向き合い方、言葉の選び方、姿勢そのものに人間性が表れる仕事だと強く感じるようになりました。母から受け継いだ謙虚さ、父譲りの人見知りしないコミュニケーション力。その両方を自分の軸として、どんな評価や結果にも慢心することなく、これからも真っ直ぐに歩み続けていきたいと思っています。

- プロフィール
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室井 聖也(むろい・せいや)
GOALD渋谷神南店 プロデューサー
2001年、栃木県生まれ。小学生の頃からセルフカットを始め、高校時代には同級生約200人のヘアカットを経験。原宿ベルエポック美容専門学校1年次に、STYLE LAB主催「全国美容専門学生ヘアメイク総選挙 令和男子ヘア」で優勝。卒業後は多くの有名サロンからオファーを受けたものの、GOALDへの入社を決意。1年目からスタイリングを担当し、丸2年でスタイリストデビュー。社内歴代最速となるデビュー後1年半でプロデューサーへ昇格。さらに指名売上ナンバーワンを更新し続けている。「カミカリスマ」メンズ最年少受賞。
Instagram:@seiya.661_116z
(文/織田みゆき 撮影/松林真幸 MIKAN inc)