ロンドンの日本人美容師として海外ギャルの心を掴むHACO＋ sayuさん#Z世代のスター発掘
日本の技術とホスピタリティはロンドンでも有効！ 英国ギャルの「かわいい」のルーツを知りたい
HACO＋に来てみると、何もかもが変わりましたね。日本のトレンドサロンだと、美容師は自分の得意なことを武器にしているので、得意な技術の割合が8割、残りの2割がベーシックというイメージがあって。HACO＋はそうではなく、ベーシックの幅がものすごく広がっていっている実感があります。例えば、ボブの切り方一つとってもいくつもパターンがあって…自分が考えていたベーシックの何倍もの技術を知って、サロンワークをしているだけでも学びがたくさんあることを発見しました。
HACO＋のスタイリストは、順番にロンドンのHACOで美容師をします。私も昨年初めて渡英して、1カ月半、ロンドンで美容師をしました！
正直、自信はなかったのですが、技術も接客も、思っていたより太刀打ちできたことが嬉しかったです。私は技術を学びに行くつもりだったけれど、日本から持っていけるものもあるんだな、と。
まず、接客に関しては日本の美容師のホスピタリティはものすごく喜ばれますね。イギリスの美容師さんはアーティスト気質の方が多いようで、私にとっては普通のヒアリングでも「こんなに丁寧に接客してくれるなんて！」と感激していただけました。技術面でも、日本の美容師が劣っているということはまったくないと思います。
一つ課題があるとすれば、イギリスの女性が考える可愛さを、自分もしっかりルーツから知る必要があるということでした。例えば、「カーリーヘアにしたい」と言われたときに、自分もそのスタイルを可愛いと思えないと、ヘアを作りながらしっくりこなくて、その子が思う「かわいい」に対して再現性がなくなってしまうんですよ。一方で、アジア系の女性の間では私の得意なレイヤースタイルが流行っているので、それは提案しやすいですし、手応えも感じました。
馴染みあるヘアのオーダーでも、そうでない場合でも、自分の技術開示や美容師としての提案はしっかりするようにしています。自分にとっては斬新なスタイルでも、「もっとこうした方がよくなると思う」と、プロの目線で伝えることは大切にしていますね。
私は、日本で美容師をするのも大好きなので、今のところロンドンでのサロンワークに全BETすることは考えていません。ただ、日本でのサロンワークでも、外国人のお客さまが増えてきたと実感しています。実際に海外からの集客で成功しているスタッフもいますし、最近は会社で英語のレッスンが始まったんですよ。日本の美容室はツーリストにとっても魅力を感じてもらえるようなので、日本にいながらも、今よりもっとグローバルに働きたいです。
Instagramのフィード投稿は「美容師としての自分」に憧れを持ってもらえるものに
私が作るスタイルのこだわりは、外国人風の無造作な感じやラフ感がありつつも、美容室に行った翌日からもちゃんとお客さまが自分でセットできること。美容師がコテで巻くからこそ決まるスタイルではなく、あくまでお客さまご自身での再現性を大切にしています。私の場合、レイヤーの先が自然と丸まるようにカットして、ブローだけで決まるようにしています。
Instagramの投稿は、お客さまと作品撮り、自分の写真をメインにしながら「人・モノ・コト」を上げるように意識しています。投稿にはプライベートはあまり載せないようにしていて、あくまで美容師としての私に憧れを持っていただけるといいな、と考えています。
その代わり、ストーリーでは私という人間の中身を知ってもらうために、プライベートなことも載せていますね。Instagramの投稿ではクールな印象を持たれがちで、実際に対面した方に「親しみやすくて安心しました」と言ってもらえることがあるんです。あえてそう見せているというのもありますが、「SNSだと親しみやすくて、対面ではぶっきらぼう」よりはいいかなって（笑）。
私の内面を知ってもらうという意味では、今年はTikTokやYouTubeなど動画の配信も始めたいです。美容師としてロンドンと日本のことを発信できるのは、私だけにできることなので、その強みを活かしていきたいと思います！
- プロフィール
-
HACO＋／トップスタイリスト
sayu
千葉県出身。資生堂美容技術専門学校卒業。都内有名店にてスタイリストとして活躍。「クリエイティブなデザインを深堀りしたい」という思いを抱きながら活動中、ロンドンのHACOを知り、興味を持つ。東京でHACO＋がオープンすることを知り、熱烈にアピールして入社。2024年は念願のロンドンでのサロンワークを果たす。
Instagram：＠sayu__pluto
（文／須川奈津江 撮影／菊池麻美）
- 1 2
