映画館、旅、ライブ──『生』の体験が、私らしさを磨いてくれる。JURK YOUさんの「ブレイン解剖」
映画は1日2本ハシゴも! 最近は旅やアートからもインスピレーションをもらう日々

インプットのために雑誌やPinterestももちろんよく見ますが、感性を育てるという意味では映画やドラマ、旅、アートからインスピレーションをもらうこともすごく多いです。
中でも映画はずっと好きで、映画館には月に何度も足を運びます。配信もいいですが映画館という場所自体が好きなので、アカデミー賞候補になるような海外のインディペンデント作品も、ミニシアターに足を運んでよく観ますね。観たい作品が重なると、1日で2本ハシゴすることもあります(笑)。映像の美しさや画角、色のトーン、光の入り方、服装やインテリア──そういう“絵作り”の感覚が、ヘアスタイルの構図や写真の撮り方にも自然と影響しているなと思います。
それに加えて、日々の暮らしや出会う人、見るものすべてが、少しずつ自分の感性を育ててくれている気がします。最近は、夫の影響も大きいかもしれません。彼は音楽やアートが好きで、興味のあるジャンルも私とは全然違うんですよ。以前、旅先で彼に誘われて行った美術館でアートに触れて、「自分の知らない世界って、こんなに面白いんだ」と感動したことがありました。そこから興味の幅が広がって、今まで聴いたことのなかった音楽ジャンルを掘ってみることも増えましたね。

夫婦揃って大好きな旅からも、かなり刺激をもらっています。海外に行くと、アーティストもそうじゃない人も、作り込みすぎずに持っているものを活かすようなスタイルで、すごくかっこいい人たちがいっぱいいて。技巧を凝らしたように見えるデザインよりも、その人らしさが輝くような自然なスタイルが作れるようになりたいと考えるようにもなりました。
JURKのスタッフとも、カルチャーの話はよくしますね。それこそ、コロナ禍ではオススメの映画や漫画が「宿題」としてシェアされることもありました(笑)。沢井が「これ観てみて!」と教えてくれて、みんなで感想を共有したり。後輩から「今これが流行ってますよ」って教えてもらうこともあるし、上下関係なく感性のシャッフルができるのは、JURKの面白いところだと思っています。
美容業界以外に――“美容師らしさ”を超えて、自分の世界を届けていく

最近は、美容師としての活動をもっと“外側”に広げたいと思うようになってきました。セミナーやヘアショーなどの美容師さんに向けた露出だけではなく、美容以外のジャンルの人にも自分のことを知ってほしいな、という気持ちがあるんですよね。以前はSNSでも“THE・美容師”な投稿が中心でしたが、今はむしろ「え、この人美容師だったんだ」と驚かれるくらいの立ち位置が面白いかもと考えるようになりました。メイク動画や自分のファッションのことなどは昔から上げていましたが、より私の「ライフスタイルそのもの」に共感してもらえるものを発信していきたいです。

SNSといえば、もう一つ意識していることがあります。それは、美容師としての投稿だけでなく、遊びに行ったりイベントを楽しんだりプライベートに関わることもたくさん発信すること。たぶん、私はJURKの中では一番“遊んでる人”だと思います(笑)。
これには理由があって、後輩に「美容師だからって、ずっと美容漬けじゃなくていいんだよ」と伝えたいからなんです。もちろん、美容漬けになることも大事だし、美容師になったからにはそういった期間も必要です。
でも、その先ではプライベートも充実できる、という明るい未来を想像してほしいんですよね。私はサロンの中でも上の世代になってきているので、まずは自分が率先してプライベートを満喫して、楽しんでいる姿を見せているつもりです。後輩が私を見て「旅行していいんだ」「ライブも行っていいんだ」って思ってもらえるような存在でいたいですね。

- プロフィール
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JURK Nagoya・Tokyo
ディレクター/YOU
愛知県出身。愛知美容専門学校卒業後、新卒で名古屋のサロンに入社。8年間在籍したのち、JURKのオープニングメンバーとなる。色気や抜け感のあるモード感のあるスタイルを作り、ファッション感度の高い女性からの支持を集める。美容師としての発信のみならず、アクティブなライフスタイルも注目されている。
Instagram:@jurk_you
(文/須川奈津江 撮影/菊池麻美)
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