“いなたさ”がポイントのラフなメンズヘアで注目! KATETAYLORのスタイリスト後藤和弥さんの挑戦 #Z世代のスター発掘
上京後、1年でデビュー。SNS集客にも成功!
上京して驚いたのは、労働環境の違いです。前社はオープン時間が9時だったので、出勤時間も早かったんですよ。でも、うちは11時オープンなので、練習後深夜に帰宅しても全然寝れるんですよね(笑)。しっかり休めるので、そこはありがたかったです。練習の強制もないので、マイペースに進める人もいれば、がっつり練習する人も。そこに関しては、地元にいた頃とのギャップを感じました。僕は厳しい練習習慣が身についていたので後者のタイプで、設定されたレッスン日以外にも時間を作っていただき、見てもらっていましたね。
前社での経験もあり、スタイリストになるための技術チェックは1年ほどでクリアしたのですが、お客さまゼロの状態だったので集客面では苦労しました。最初の頃は街で客ハンもしましたし、途中からはインスタのDMに切り替えて、毎日100件は送って。来店してくれた方のスタイル写真を投稿していき、その中の一枚がすごく伸びたことを機に、集客も少しずつ軌道に乗り始めました。その1ヵ月後にはデビュー基準の売上を達成し、無事スタイリストになった形です。
インスタは毎日必ず投稿すると決めていたので、上京している友達に来てもらったり、さらにその友達も紹介してもらって、セットの仕方を変えることで一人あたり2〜3スタイルを撮っていました。最初にバズったのはショートスタイルなのですが、世間的にもショートが流行っていた時期にタイミング良くアップできたのがポイントだと思います。そこから、投稿がバズる回数も増えていきましたね。
撮影用のカメラは、スタイリストデビューしてから購入したリコーのGR3。ページの統一感を出すためにレタッチもしていますし、色味にはこだわっています。基本的に、フィード投稿はスタイル写真と決めていて、自分のヘアやファッションはリール投稿という感じで、使い分けるようにしています。
スタイルのポイントは、シティボーイに“いなたさ”を出すこと
僕はキメキメのスタイリングよりも、寝癖のようなナチュラルなスタイリングや、ドライな質感が好きなんですよね。それを表現する言葉を探した結果、たどり着いたのが“いなたさ”というワードでした。ファッションや雰囲気がすごくおしゃれで、ヘアは少し肩の力が抜けているくらいの雰囲気が良いなと思って。
スタイルづくりの一番のこだわりは、再現性です。自宅でも簡単なスタイリングで仕上がるように切りますし、それが自分の強みかな、と。なので、最後のスタイリングでもアイロンを使うことはなくて、ニュアンスが欲しい方にはパーマを推すことが多いです。
僕自身がもともと直毛で、パーマをかけたことで世界が変わった経験があって(笑)。ずっとパーマをかけていましたし、メンズはパーマが一番楽じゃないかなと思っています。メニュー的にも僕のお客さまはパーマが多いので、ショートからロングまで幅広いパーマをやらせてもらっています。
お客さまは、SNSから来てくれている方がほとんど。客層は同世代から少し上の世代が多くて、TikTokから来てくれるのは高校生が多いですね。今は、1日15〜17人のお客さまに入客しています。サロンワークは自分でもかなり頑張っていると思うので(笑)、今年は業界誌などの撮影に挑戦していきたいなと思っているところです。美容業界にもっと深く入っていきたいというか、さらに仕事に打ち込みたいという気持ちですね。
先日、某業界誌の表彰式があり、うちのスタッフもノミネートされていたのですが、その作品を見て「美容師の仕事は、サロンワークだけじゃないんだな…」と改めて思わされたんです。ここから先の自分の仕事に箔をつけていくためにも、今までトライしてこなかった本格的な作品撮りや業界の仕事に、前向きに挑戦していきたいなと思っています。

- プロフィール
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KATETAYLOR/スタイリスト
後藤 和弥(ごとうかずや)
宮城県出身。仙台ヘアメイク専門学校卒業。高校卒業後、地元の美容室で3年間働きながら通信で美容免許を取得。その後、上京して『KATETAYLOR』に入社。SNSでメンズヘアを打ち出し、1年後にスタイリストデビュー。寝癖のようなニュアンスパーマが支持され、一躍人気スタイリストに。
Instagram:@ __kazuya.___
(文/織田みゆき 撮影/Yui Ogano)
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