自分の「軸」を持とう。「誰かのコピー」で終わらない。 〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき7つのこと」〜 VeLO 赤松美和
20代は、美容師として、そして社会人として花開く土台をつくる時期。自分の理想とする美容師人生を長く続けるために、20代のうちにやっておくべきことがあるはずです。そこで、美容業界のレジェンドと呼ばれる方々に「これをやったから今の自分がある」「今の時代の20代だからこそやるべきこと」など、今後の美容師人生を豊かにするためのヒントを語っていただきました。
今回は、VeLO (ヴェロ)hair&salon ディレクターとしてサロンワークから撮影、ヘアショー、育成まで幅広く美容の現場を歩んできた赤松美和(あかまつみわ)さんが登場。20年以上にわたり多くのファンに支持され続ける赤松さんが、今の20代美容師たちに伝えたいこととは? 効率や正解が重視される時代だからこそ、自分の軸を持ち、芯のある美容師になるために「20代でやっておくべきこと」を伺います。
1つ目:迷ったら、苦しい方を選ぶ
「迷ったら、苦しい方を選べ。」
これは、私の師匠・植村さん(故・植村隆博さん/DADA CuBiC)からいただいた言葉です。美容の仕事は、決して効率や近道だけでは成り立ちません。むしろ、非効率の中にしか生まれない技術や感性があります。休みの日に撮影現場に顔を出し、自分の意思で道具を磨き、誰にも言われなくても練習に向かう。そうした一つひとつの「苦しい方の選択」が、やがて自分だけの強さになっていきます。
もちろん、楽な道を選びたくなる瞬間もあります。目先のメリットや損得で判断すれば、あっという間に「やらない理由」は見つかる。でも、「楽な方」を選び続けた先には、きっと「自分にしかできない仕事」には出会えないと思うんです。コスパ・タイパばかりが重視される時代だからこそ、「自分の芯」を持って、あえて苦しい道を選ぶ勇気を持ってほしいですね。
2つ目:何気ない日常のなかに“ときめき”を見つけよう
私はよく、カメラを持ち歩いています。スマホで写真を撮るのも便利だけど、あえてカメラを持つことで、日常の風景が少し違って見えてくるんです。
街を歩いているとき、“何かを撮りたい”という目で見るだけで、普段なら見過ごしてしまう瞬間に目が留まるんです。たとえば、緑の壁の前を緑の服を着たおばあさんが通った瞬間とか、街の光の角度、人の何気ない表情。そういう一瞬が、急にドラマチックに見えたりする。
美容師って、感性がすごく求められる仕事だと思っています。髪に触れるとき、お客さまと向き合うとき、日常の中にある小さな変化や美しさに気づける目が必要です。だから私は、カメラを持って“ときめき”を探しに行く。自分の心が動く瞬間を見つけに行く。そんなふうに、日常の中で感性を磨いているんです。