好きなことをやる。人や世界に触れる。想像力と感性でカットは上手くなる。 〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき6つのこと」〜 BEAUTRIUM 川畑タケル

20代は、美容師として、そして社会人として花開く土台をつくる時期。自分の理想とする美容師人生を長く続けるために、20代のうちにやっておくべきことがあるはずです。そこで、美容業界のレジェンドと呼ばれる方々に「これをやったから今の自分がある」「今の時代の20代だからこそやるべきこと」など、今後の美容師人生を豊かにするためのヒントを語っていただきました。
今回は、日本の美容シーンに多大な影響を与えたスライドカットの生みの親、川畑タケル(かわばたたける)さん。BEAUTRIUM(ビュートリアム)ブランドを深化させ、現在は鎌倉・七里ヶ浜に拠点を構え、都心から離れていても多くのファンが足を運ぶ人気美容師です。「僕らの時代と今の若い子たちって、もはや別の星に住んでるくらい違うから」と語る川畑さんですが、時代が変わっても変わることのない大切なことを若手美容師に向けて語ってくれました。

1つ目:好きなことは、先にやっておいたほうがいい

自分のまわりを見ていて思うのは、やっぱり成功する人って、好きなことを先にやっちゃっているんじゃないかな。
「いつかやろう」ってやりたいことを、我慢して後回しにしていると、あとでちょっとしんどくなるよ。
若いうちは体力あるし、時間もある。だから、やりたいことは先にやったほうがいい。失敗したって取り返しつくから。
うちのサロンにも、大学卒業したあと世界一周してから入ってきたスタッフがいるけど、そういう人生経験って、仕事にちゃんと出るんだよね。

ちなみに、僕も一度美容師をやめて、3年間サーフィンしかしてなかった時期があるんです。サーフトリップをしているなかで出会ったカリフォルニアのサーフィン少年がしていた長髪がすごく印象的で、それがキムタクのヘアにつながったんですよ。

2つ目:感性の引き出しを増やそう

昔から映画が好きでね。ほんとによく観るんだよ。たとえば『パリ・テキサス』とか『バグダッド・カフェ』とか。ストーリーもいいけど、あの空気感とか、光の入り方とか、その時代の匂いみたいなものが映像から伝わってくる。
今の子たちは、Netflixとかで流し見したり、倍速で観たりするでしょ? あれ、僕には正直信じられない。僕なんか、気になるシーンがあったら一時停止して、じーっと画を見たり、メモ取ったりして観てた。構図とか色味とか、そういうのまで吸収したくて。
映像の中に出てくる人の髪型とか、服装とか、たたずまいとか、背景の街並みまで全部が刺激になる。そういうのを観てると、自分の中に「これ、なんか好きだな」って感覚がどんどん蓄積されていく。

美容師の仕事って、髪を切るだけじゃない。その人の背景とか、生き方とか、全部を想像して、カタチにしていく仕事。だからこそ、感性の引き出しは多ければ多いほどいい。
映画は、引き出しを増やす材料なんだよね。
