レディースショートの旗手でオールラウンダー、荒田和哉。圧倒的な経験値で磨いた技術とセンス、性別不問カットのスイッチング力に迫る

 

レディースショートを打ち出し、男女客の比率は5:5に

 

――新卒で入社したサロンは、男女客の割合はどのような感じだったんでしょうか。

 

それが入社後にわかったのですが、サロン顧客全体の9割が男性客だったんです。もともとレディースサロンからスタートした会社だったので技術マニュアルはありましたし、技術力も高いのでレディースの撮影の仕事も入っていたんですけど、実際のサロンワークではほぼ男性客でしたね。なので、途中から女性客を担当しているスタイリストがいる店舗に異動させてもらい、そこで女性客にも携わらせてもらいました。






ーースタイリストデビューしたタイミングはいつでしたか?

 

2年目からスタイリストとして働かせてもらいました。早い段階でデビューして、実践を積むチャンスをもらったことで今の自分があると思っているので、本当に感謝しています。デビューしてからは、女性客を集客するためにインスタを活用しました。集客サイトにはメンズスタイルを載せていたので、インスタはレディーススタイル100%の打ち出しにしていました。ボブやロングを発信していた時期もありますが、2020年頃からショート推しに変えて、そこからフォロワー数も爆発的に伸びていきました。そのサロンには6年間お世話になったんですが、最終的には男女客の比率が半々になっていました。男女問わず担当していきたいと思っていたので、まさに理想通りに集客できていたと思います。




 

ーーフリーランスとしての独立は、いつ頃から視野に?

 

入社した頃から、遅くても30代には実現させたいという気持ちがありました。27歳で独立することは全く想像していなかったので、ちょっと前倒しで退社した形になります。僕としては、レディースに強い店舗へと成長させていくことで、会社に貢献できるかな?なんて考えていたんですけど、会社の方向性はどんどんメンズにシフトしていったんです。そうなると女性客がどうしても来店しづらくなりますよね。このままだと自分の失客にも繋がるなと思ったので、予定より早かったですが思い切って離れることにしました。







 

常に”新しいもの“を求めて、海外のSNSをヒントに





――2023年からフリーランスに転身して、現在はNOVANを拠点にされています。フリーランスになって、働き方は変わりましたか?

 

サロン勤務時代は席をフルに使って予約を埋めていましたが、フリーになってからは2枠にして、予約を制限しています。おかげでお客さまとの対話も増え、しっかりと向き合えている感覚があります。毎日充実していますし、楽しいですよ。というか、楽しさは美容師になってからずっと感じているんですけどね。僕にとって美容師の仕事はゲーム感覚というか、できることが少しずつ増えていって、武器を増やしているような、そんなイメージなんです。銀座から表参道に拠点を移したことで、銀座に職場がある男性客は物理的に減りましたが、そのぶん新規の女性客が増えました。今は、女性客の方が多いです。NOVANに来てからインスタの投稿写真をより細部までこだわるようになったので、それが伝わる人には伝わっているのかなと思っていて。





 

――技術のアップデートにも余念がないとか。具体的には、どのようなことをしているんでしょうか。

 

いろんなものを幅広く見てますね。SNSもそうですけど、オンラインでも学べる時代じゃないですか。”新しいもの”は常に探していかないと、とは思っています。僕は韓国や中国の美容師さんのSNSをよく見ているんですが、その人にしか作れない個性的な質感に惹かれるんですね。写真の画角や色味、表現上のセンスも含めて。僕自身も、写真を見れば僕のショートだとひと目で分かるようにしているんですけど、とにかく「おしゃれだな」「新しいな」と思った写真は、すべて保存してますね。それを集めて、スタイル作りや撮影するときの参考にしています。

 

フリーランスになって気づいたんですが、僕のこだわりや接客術、美容師としてのあり方や考え方などは、前社の教育のおかげなんです。技術面においても場数を経験したことでバッサリと躊躇なく切れますし、男女それぞれのカット理論を理解しているので、男性寄りのスタイルにしたい女性客や、その逆の場合も求められているニュアンスが僕にはわかるんですよね。そこでしか学べないことだったなと思うし、ありがたい環境だったなと感謝しています。








>「SNSコンサル」など、新しい取り組みも


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