直感型オーナーの決断。サロンと植物販売を拡大する経営者のブレない考えの源―高円寺/menos石井和昭さん

植物販売が大きくなると同じ空間で売るメリットが0になった

 

植物はどの商材よりも好評だったので、ネット販売もはじめたりと、事業として力を入れることにしたんです。しかし、植物販売が成長していくにつれ、美容と植物を同じ空間でやることに限界を感じはじめました。

 

ギフトショップには、専任の販売スタッフもいたのですが、その子たちが早くあがる日があると、ギフトショップが仕事帰りの方たちで混む時間帯にサロンスタッフがショップのお客さまも対応しなくてはいけなくなったんです。でも、美容師だから美容室のことも同時にやらなければいけない。それがスタッフの大きな負担になりました。

 

おそらく、お客さまには植物と美容、両方の提案は響きます。でも、スタッフに植物を売る意識を持ってもらうのは難しいと感じていました。やっぱりみんな髪の毛を切りたくてうちに入ってきていますから。たくさん種類のある品種や学名を覚えさせるのは、ハードルが高すぎちゃって。

 

サイズが小さい美容室なら、商品数が限られるのでサロンスタッフの負担は減ります。けれど、小さいと事業の成長が見込めません。

 

キャパとしてはすでにスタッフに負担をかけてしまう規模でしたし、今後さらに販売を成長させたいと思うともっと大きくする必要がありました。さらに美容室も、植物屋も、それぞれ単体でも集客を見込める状態だったので、植物と美容を切り離すことにしたんです。

 

ただ、「うち植物屋もやっていて、おもしろいもの売っているんですよ」と言えること自体が美容室としての強みであることは変わりません。お客さまを植物屋へ誘導することができます。逆に「うち美容室もやっているんですよ」と言えることがショップの強みであることも。美容室と植物屋、両方展開しているサロンはそれほどないですから。

 

 

植物販売をはじめて知った美容の難しさ

 

 

2015年に美容室から徒歩5分ほどの距離に植物屋「芽の巣山」をオープンしました。植物販売は今年で5年目です。僕はこの5年間植物を売ることに苦戦したことはなかったけど、「美容って難しいな」と思うことが多くなりました。

 

その理由はふたつ。ひとつは1人の美容師が100万円の売上をだすのは、物を売ることと比べ、とても大変だからです。例えばネット販売。うちの場合は1点ものが多いのですが、他の業種で考えるとひとつのものをサイトにアップして、継続的に同じものを何人にも売ることができます。だけど美容室での施術は、量産ができません。

 

そしてもうひとつは、僕がどんなに切るのがうまくて、いいスタイルを作ってもそれだけでは経営は成り立たないところ。オーナーとして、たくさんのスタッフがいるなかで、スタイリストひとり一人を何かに特化させたり、特徴をつくったりしていかなければいけません。

 

もちろん、植物屋のスタッフにも教えることはあります。ただ植物は僕が植物好きで植物に魅了されているから成り立っている部分もあるんですよね。ですが、美容師は育てるだけでなく、それぞれがスタイルを作り続けなければいけない。むろん、それがおもしろさでもあり、美容の可能性だと思っています。

 

植物販売をやったからこそ、そういった美容の難しさと、だからこそのおもしろみ、可能性に気づけた気がします。

 

 

>さまざまなことにトライする石井さんの原動力とは? 美容と植物販売の次のステップへ!

 

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