【奈良裕也×高木琢也×内田聡一郎】仕事観・若手論・出会いまで。トップ美容師3人が“全部語った”一夜限りの本音トーク-soucutsの庭Vol.1-(前編)

内田:なるほどね。色々質問とか、聞きたいことあるんですけど、どんどん聞いていいですか?
二人:はい。
内田:今回(質問を募集して)一番多かったのが、二人の繋がり、人脈。いち美容師からすると、あり得ない人脈の作り方してるじゃないですか。自然とできたものなのか、意図的に、意識的に大事にして、今までやってきたのか。高木くんはどう?
高木:うーん…。さっきの表参道と電車の中での奈良さん。「え、なんで俺のこと、知ってくれてるの?」って驚き。俺、奈良さんとしゃべってもいいんだっていう。受け入れ方が、奈良さんは自然で。
芸能人とか、大手の社長さんとかって、緊張するじゃないですか、本来は。でも俺は、そのまんまいく。意図的に。だからそれは、奈良さんを見て学んだ部分が結構大きいかなあ。気を遣って、気を遣われるよりも、ナチュラルに話しかけてくれるほうが先輩は嬉しいし、それは芸能人の人たちもそう。特別扱いされずに話しかけてもらったほうが、きっといいんだろうなあって。
ゴルフしたいというよりは、みんなで仲良くして、この人はこういう性格だって、知りたい。多分お二人は、音楽の場とか、飲みの場とかがそうだと思うんですけど。僕にとっては、ゴルフの時間がそう。「あ、この人のキャラ、こうなんだな。じゃあ褒めよう」みたいな。ゴルフは、褒めて合って伸びていくスポーツなので、それでだんだん仲良くなって。
それで、「髪切ってくんない?」みたいになる。で、「え、無理」って言う。
内田:あ、無理(笑)
高木:「そんな簡単には切らないよ」とは言ってますね。
内田:そこは駆け引きじゃないけど、媚び売るっていうのは、逆に違うなと。
高木:そうっすね。「ぜひ来てください!」みたいなことは言ったことないし、一般のお客さんを断ってまで、あなたの髪の毛を切って何かプラスあります?って思う。その辺も、正直に言う。
「あなたの名前を借りなくても俺、売れてるし」というのは、ご理解いただいた上で、みなさん連絡をくれるので、(連絡が)遅い人は、全員よそに行ってくださいって感じ。
内田:そこは超フラットに。
高木:でも、(いつもナチュラルな姿勢でいられるのは)奈良さんの存在が本当にでかいかも。
奈良:いやいや…。
内田:奈良くんは、SHIMAっていう母体もあるんだろうけど、どうやってそういう風になっていったと思う? 振り返ると。

奈良:遊んでたね。遊び場にいたし、華やかな世界が元々好きだったから。モデルと仲良くなって、「え、絶対(切りに)来てほしい」って言ってみたりもある。だから、意図的なところもあるし、自然なところもあるかも。どっちもかな。
俺とかウッチーの時代って、雑誌の時代だったから。いろんな雑誌に出てたけど、意外と自分ではちょっとカッコ悪いって、思ってたとこもあるじゃん。こんな雑誌に出て、みたいなさ。でも、出ると影響力あるし、クリエイターの人たち、デザイナーやモデルさんだったりが、結構見ていて。後から聞くと、知っててくれたりして。そこから繋がったりして、派生でどんどん広がって、かな。あと、いろんなジャンルの友達がいるから、この歳になると自然にどんどん(人脈は)広がっていく。だから、ヘアショーとか、自分にしかできない特別な人を呼んだりしてる。見てる方も楽しいじゃん。美容師っていう枠を超えて、エンタメができればいいなと思ってます。
奈良さんと高木さんの接客術

内田:(著名な人が)髪を切りに来る時も、言うことはガンガン言う? 向こうに媚売らずに。
奈良:似合わない時は、「これ、やめた方がいいんじゃない」って言う。どうしてもやりたいってなったらやって、「ほら、変でしょ」って(笑)
高木:「変でしょ」って、奈良さんは言えますよね。
奈良:「ほら〜、やんなきゃよかったのに」って(笑)
高木:しかも、ちょっとふざけてるじゃないですか(笑)余白をつくるのが上手だなって思う。お客さんが「本当だ、マジで変じゃん」って、納得せざるを得ない余白をつくるのが、奈良さんは上手い。俺も、(お客さまが)「あ、前髪をもうちょっと切りたいかも〜」って、言える余白をどうつくるか考えてる。接客に関しては、奈良さんのインパクトは、僕にとってでかいですね。
内田:昔そういう印象を受けて、オーシャンになってからは意識的にやった?
高木:そうっすねえ。美容学生から美容師になる段階で、なるべくユルくて、速くて、細かい仕事ができる美容師がいいなあと思ってた。でも(新卒で)入社した美容室の人たちには、すごく怒られてましたね。ユルすぎるとか、お前は友達じゃねえ、とか。
僕は、母以外に髪を切ってもらった人がいなかったので、有名な美容師さんに、すごく丁寧に、接客をしていただいたり、髪の毛の提案をしていただくと、本当にすごく嬉しいんですけど、余計に緊張しちゃって。
逆にSHIMAに行った時に、「ゆっる〜、ゆる〜!!」見たいな(笑)
内田:どんだけユルかったの(笑)
奈良:アットホームって感じかな(笑)。あの頃は美容学生、死ぬほど来てたしね。

高木:当時の俺、ウルフでコーンロウにしてたから、襟足が長かったんですよ。それがいきなり、座って1分で、刈られて襟足なくなっちゃって。カウンセリングもなく、ガーっていかれて(笑)。「うわ、地獄〜」って(笑)。でも、その潔さとユルさが、「この美容師、すげえ」に変換された。
でも僕は、確認して、刈り上げられる美容師になろうと思った(笑)
内田:なるほどね(笑) SHIMAのそのスタンスが、今の原点になってるみたいな。
高木くんさ、なんかで見たけど、人生相談しにくるお客さんが多いって。それもそういうスタンスでやってたら勝手に増えた?
高木:それもそうですし、できればアゲチンになりたいっていう思いで美容師をやってて。俺を通過したら受験が受かるとか、勝負事に勝つとか、仕事がうまくいくとか。
成功している人は、奈良さんもそうだし、他の人もそうだけど、明るいじゃないですか。その人に会って、例えばこっちが普通に「お疲れ様でーす」って言ったら、「おー!!!!」って感じで返してくれる。あの明るいリターンができる美容師になりたいから、わざわざ髪の毛を切りに来た子に真面目な話をするよりかは、明るく、「やっちゃえよ!!!」って背中を押せる兄貴っぽいポジションになりたいなっていうのは、昔からありますね。
内田:もうデビューしたてからそんな感じ?
高木:アシスタントの時からやってたんで。偉そうにしゃべるなってよく言われてました。
内田:先輩には言われるけど、それが俺のスタンスだ、みたいな(笑)
高木:そう、うるせーって(笑)
内田:奈良くんは、どっちかって言ったら優しい系よね?
奈良:うん!
内田:でもねえ、俺、覚えてるけど、当時は尖ってたよ。
高木:二人は尖ってましたよ!
内田:いや、俺は尖ってないよ、全然(笑)俺は覚えてるけど、一番最初に会った時、一言も口聞いてくれなかったもん(笑)
奈良:(笑)そういう交流を持ちたくなかったの、自分のサロン以外の人と。だから撮影終わっても、すぐ帰っちゃう。
内田:SHIMA以外の人とツルまないみたいなの、あったよね。
奈良:あったの。だから20代から30代半ばくらいまでは、一切他の美容師さんとは絡まなかった。