ベーシックはハートで作る。美容業界のレジェンド、PEEK-A-BOO川島文夫 が示す美容師の仕事の本質-soucutsの庭Vol.3-

ベーシックはコミュニケーション ヘアはハートで作る

 

 

内田:そんな中、いくつかテーマを設定させていただいているのですが。PEEK-A-BOOといえばサスーンカット。そして“ベーシックのキング・オブ・キング”という認識が、業界の中でもあると思います。川島先生の中でいう「ベーシック」とは、どんなものなのでしょうか。先ほど、時代は流動し、進化し続けるとおっしゃっていましたが、先生ご自身の中でもベーシックの感覚や定義は変わってきているのでしょうか?

 

川島:もちろん。ベーシックといっても、みんなが思うワンレングス、グラデーションがベーシックじゃないんですよ。今のベーシックというのは、その時代に合っていること。それがベーシックなんです。多くの人が、ベーシックというと「ブラントカットでパチパチパチ」とか、「PEEK-A-BOOはそればかり」と思っている。全然。大間違いだと思います。

ベーシックというのは、コミュニケーションなんです。どうやって切るかがベーシックなのではない。そういう発想を転換しないと。「これと、これと、これを覚えれば、ベーシックを理解した」「サロンで通用する」。そんなふうにはならないんですよ。

ベーシックとはコミュニケーション。価値観も美意識も時代とともに変わります。まっすぐ切るのが、乱れない髪を切るのがベーシックだと思っている人が中にはいると思います。そんなことないじゃないですか。今はギザギザだってベーシックになり得る時代ですから。ヘアは、ハサミとコームで作るんじゃない。ハートで作るものなんです。

 

(全員感動のどよめき)

 

内田:名言が凄すぎる…!

 

川島:ちょっとカッコよすぎるかな(笑)。でも、それくらい夢のある美容師になってほしいんです。美容師という仕事を、資格の勉強みたいに「1、2、3、4」と順番で覚えるものだと思ってしまうと、つまらなくなってしまう。今はもう、そんな時代じゃないですよね。そういうやり方のままだったら、美容師を目指す人なんていなくなってしまう。

どうやってそれを簡素化して、早く自分のものにするか。それがベーシックなんです。ベーシックというのは、小学生が学校に入って、言葉の分からないところから「あいうえお」を覚えるのと同じ。でも、中学や高校になってまでずっと「あいうえお」をやっていたら、「頭おかしいんじゃないの?」って言われてしまいますよね。その時々の自分に合ったスタンスを作ること。それがベーシック。さらに、ベーシックはハートで作るものなんです。

 

 

内田:今日の見出し、もう決まりましたね(笑)。「ベーシックはハートで作る」。

 

川島:たとえば専門誌を見ても、まだハウツーカットが多いでしょう。繰り返しばかりで、あまり面白くないなと思うんです。教育の方法も、昔ながらのやり方のままだと、誰も学びに来なくなる。

 

カットというのは、本当はやればやるほど深みがあるものなんです。でも、表面的な情報だけで理解した気になってしまう。今、YouTubeを見たら、カットができる錯覚をするじゃないですか。錯覚美容師が多いだけよ。ヘアカラーだって、動画ではこうやって塗って「あー簡単」みたいに見える。でも実際は、表面から塗布しちゃいけないとか、後ろからやるとか、隠れた部分にテクニックがある。それと同じようにヘアカットも、YouTubeで見て、こういう風にして斜めに引っ張って…(切れる気になっている)。そんな簡単なもんじゃないんですよ。それを理解できるようになるためには、やっぱりハートが大事なんです。

ただし、そのためにも最初の「あいうえお」、つまり基礎のABCくらいは、ちゃんと知っておきなさい。そういうことですね。

 

内田:実はこの間のヘアショーも、武道館のヘアショーでも感じたんですけど、先生、フリーハンド気味にカットされていましたよね。

これまでPEEK ~A-BOOというと、きっちりコームを入れて、所作を見せながらカットしていくイメージがあったんですが、そのとき先生はあえてコームを使っていなかった。そこにメッセージ性を感じました。

 

川島:やっぱり考え方は、いつもフリーであってほしいんですよね。テクニックはもちろんある。でも、髪の素材だって人それぞれ違うじゃないですか。ブリーチしている髪もあれば、バージンヘアもある。そうなったときに、ハサミを45度に入れるのか、斜めに切るのか、まっすぐ切るのか——それはもう、その人の感覚というか、リズムなんです。

ですから、ハートっていうけど、リズムですね。これがある方がいいと思います。

 

内田:さっきの名言が、喰らい過ぎて…(笑)。

 

 

川島:内田くんも言えばいいじゃない。「心でカラーするんだよ」って。

 

この後、Podcastでは質問コーナーに入ります。下積み時代に身につけておくべきことから川島先生のシザーについて、生涯現場に立ち続けるために、川島先生が続けている意外なこと!?などで大盛り上がり。詳しくはPodcastをチェック!

 

内田:だいぶお時間も経ってきましたので、最後に先生にお伺いしたいことがあります。リスナーにはこれから頑張っていきたい美容師さんも多いと思います。川島先生は、これからの時代、どんな美容師を育てていきたいですか? また、どんな美容師がこれから輝いていくと思われますか?

 

川島:川島文夫の究極のメッセージ。

振り向くな、振り向くな。後ろには夢がない。

諦めるな、諦めるな。いつでも逆転できるんだよ、俺たちは。

そして、想像力で空を飛べる美容師になってほしいと思います。

鳥は羽で空を飛びます。美容師は想像力で空を飛びます。

こんな美容師を目指しながら、日本の美容界、さらに世界ナンバーワンになれるように、みんなで切磋琢磨して、「美容師は楽しいんだよ、だからやってるんだよ」っていう気持ちを忘れないこと。

Happy Togetherで、Love and Peace and Together!ありがとう。

 

内田:ありがとうございます!改めてお二人もありがとうございました!

 

special thanks浦さやか

 

 

プロフィール

PEEK-A-BOO

代表/川島文夫(かわしま ふみお)

 

専門学校卒業後、カナダ・トロントで海外美容師生活をスタート。ロンドンではヴィダル・サスーンに参加し、アーティスティックディレクターを務める。帰国後の1977年にPEEK-A-BOOを創業。現在は都内に10店舗を展開し、約300人のスタッフを擁するサロンへと成長させた。現役 でサロンワークを続けながら、ヘアシューティングやセミナー、雑誌撮影など多方面で活動している。

 

PEEK-A-BOO表参道
店長/内藤寛人

PEEK-A-BOO入社後、サロンワークを中心にキャリアを重ね、表参道店長に就任。骨格や髪質を見極めた精度の高いカット技術と、丁寧なカウンセリングを強みに、ショートやボブなど再現性の高いデザインで多くの顧客から支持を集めている。

 

PEEK-A-BOO 銀座並木通り
アートディレクター/

1982年生まれ、静岡県出身。高校卒業後に上京し、国際文化理容美容専門学校を卒業後『PEEK-A-BOO』に入社。サロンワークを中心に撮影やセミナー講師として幅広く活躍。2016年、NEWoMan新宿店店長としてオープニングから率いる。2020年、アートディレクターに就任。ヘアコンテスト受賞歴多数。

 

内田聡一郎/『LECO』代表
soucutsの庭ホスト
2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUを、2025年には別ブランドとしてØØnをオープン。
現在渋谷1丁目に5店舗を展開。
代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。

 

(文/リクエストQJ編集部  撮影/菊池麻美)

 

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