美容師のヘアカタ写真はリアリティーに欠ける。BLANCOトヲルさんの違和感だらけな写真がお客さまに選ばれる理由

無意味に魚を咥えさせているわけではない。モデルの新しい一面を探りながら、日常を想定する撮影方法

 

 

作品写真がバズったことで、見ている人は普通じゃないことにも興味を持つことがわかりました。なので、作品写真は“違和感”や“刺激”というイメージを軸に、新しい一面があることを心がけています。モデルさんの今までの人生に関係づけたテーマで撮影をし、そのモデルさんの可能性を引き上げ、新しい体験をさせてあげることもそのひとつ。モデルさんって、いろいろな場所で撮影している方も多いので、僕は同じようなことをさせたくないんです。

 

例えば、魚を咥えている作品は、モデルさんのお父さんが、市場で働いている魚屋さんだったから魚を咥えてもらいました。見た人は「何で魚咥えてんの?」って思うかもしれないのですが、関係ないことをしているわけじゃありません。撮影前にコミュニケーションを取る中で、お父さんが魚屋であることを知り、「じゃあ魚で何かできないかな」と思い、お父さんとやり取りをして、魚を仕入れさせてもらいました。パンを咥えている写真も、その女の子がもともとパン職人だったからなんです。

 

批判はされる。けど、社会のルールを破らないことも一つのこだわり

 

 

モデルさんのパーソナリティを知るためには、僕は事前にメールでアンケートを取っています。

「名前」「年齢」「身長」「職業」「趣味」「特技」「好きな音楽」「好きな雑誌」などを教えてもらい、会話が膨らむフックを探るようにしているんです。

 

例えば、特技がヨガで、その話をきっかけに会話が盛り上がったら、「じゃあヨガのポーズで撮ってみようか」みたいな。会話の突っつき所を見つつ、突ついたときのモデルさんの感触を見ています。撮影のときにモデルさんのキャパを超え、無理をさせているのが一番ダサいと思うので、「モデルさんがどこまでいけるのか」を考えているんです。

 

また、ロケ撮影の場合、風が吹いたら髪が崩れることもありますが、僕はそのまま撮影してしまいます。後ろの木が大きく揺れて、服がめくり上がっているのに、髪だけがきちっとなっているのはおかしいと思うんです。風が吹けば、髪は顔にかかったり、跳ねたりする。日常を過ごしているときに、髪がどうあるのか考えると、そのほうがリアルだと思うんです。

 

作品を発信していると、「ダサい」といった批判もあります。魚を咥えた作品も「食べ物を粗末にして」という意見もありました。でも、粗末にしてはいないんですよ。撮影が終わった後にみんなで美味しく食べています。

 

僕は撮影する上で、法に触れたり、誰かを傷つけたりは絶対にしません。撮影してはいけない場所に入ったり、危ない場所で撮影したり、交通機関の邪魔をしたり、モラルがないことはしていないんです。

 

投稿は鮮度が命! より多くの人に見てもらえるタイミングを狙うことで、間口も広がる

 

ドラマ『今日から俺は!!(日本テレビ系)』放送のタイミングで投稿した作品

 

投稿する上で心がけているのは、見切り発進でもいいから鮮度の高いものを届けること。アイデアは揉めば揉むほどつまらなくなると思いますし、タイミングを逃してしまうからです。

 

例えば、ドラマ「今日から俺は!!」が放送していたときに投稿した作品。主人公を演じる賀来賢人くんに似ているスタッフがいたので、ドラマが放送されている時期に、急遽金髪ウイッグを被せて撮影をしました。急いで撮影したのは、投稿のハッシュタグに「賀来賢人」を付けておけば、ドラマを見て賀来賢人さんを検索した人がこの作品を見てくれる可能性があるからです。

 

 

以前、水曜日のカンパネラのコムアイちゃんのまとめサイトに僕が撮った作品が載っていたことがありました。その作品のモデルさんはコムアイちゃんじゃないんですが、間違ってまとめられていたんです。投稿のタイミングを考えつつ、検索したときに僕の作品が意図的に出てくるようにしておけば、こうやってまとめサイトにまとめられたりし、見てもらえる機会も増える可能性があるんです。

 

また、作品写真以外に発信している「トヲルコーデ」は、僕がどんな人なのかわかってもらうために投稿しています。僕の姿をアップすることで、「トヲル」という人物をリアルにさせ、「トヲルさんってこういう人なんだ。じゃあ切ってもらおう」って想像してもらえるようにしています。

 

それに基本的に撮られる側の気持ちを知っておかないと、いい作品が撮れないと僕は思うんです。いざ撮影で「こうしてください」と指示したときに、「嫌だな」と思うモデルさん側の気持ちを僕も知っておかなければ、モデルさんに無理をさせてしまうかもしれませんから。

 

 

>発信は集客というより、「BLANCO」を知ってもらう機会になっている

 

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