悩める美容師必見! ケース別困ったお客さま対処法5選

理想と現実を最大限に満たす提案する

 

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−逆に、こだわりが強く無理な注文をされるお客さまに対してはどのような対処がふさわしいでしょうか?

 

こだわりが強いことをプラスに捉えると、自分のセンスや考え方を大切にされているということなので、「◯◯さん、よいセンスをお持ちなので、その理想形にできるだけ近い仕上がりにしたいですよね」とお客さまの要望を一度受容して、尊重します。

 

ただ本当に無理な注文の場合は、その後、「とはいえ、その通りにすると△△になってしまうんです。理想形とはかなり離れてしまいますよね。◯◯さんの理想にできるだけ近づけて、かつ現実的な形だとこういうスタイルrになりますがいかがですか?」と知識に裏付けされたデメリットをしっかりと伝え、理想と現実を最大限に満たす提案をする必要があります。

 

もしそれで満足されないようであれば、「それであれば、◯◯さんの理想形そのままに仕上げていきますが、その場合は先ほどお伝えしたデメリットもありますので…」と再度注意点をお伝えするようにします。

 

-知識や経験の浅い新人の美容師のなかにはお客さまのご要望に押されてしまう人もいるかと思いますが、そうした場合はどのように対処すべきなのでしょうか?

 

無理に要望を汲むと結果的にクレームになってしまう可能性がありますが、私は新人には謝ることはできても、クレーム応対はできないと思っています。でもお客さまは問題を解決してほしいからクレームを言うわけですよね。だから新人の美容師にとっては、無理に全部自分で解決せずに知識や経験の豊富な先輩など第三者の意見を入れることが大切です。そこは絶対にちゃんとした知識を持った人が介入しなければならないところで、そうした方が新たなクレームにつながらないだけでなく、むしろ「自分のために一生懸命対応してくれている」とお客さまの満足度を高めることもできると思います。

 

お客さまが言葉少なな理由を質問で見極める

 

-言葉少ななお客さまにはどのように接するとよいのでしょうか?

 

まず、言葉少なな理由は「本当に喋りたくない」「聞くのは好きだけど話すのは嫌い」の二つに大きく分けることができます。前者は話さないことが好きなのでできるだけ静かな時間を求め、後者は一方的に話されることを楽と感じているんです。お客さまがそのどちらなのかを見分けるには、やはり一方的に推測をするのではなく、質問を投げて反応を見ることが必要です。

 

「私ちょっと喋りすぎかもしれないですね(笑)。私の姉は静かに髪を切ってもらう方が好きなのですが、◯◯さんは今日はどちらかというと静かに施術される方がリラックスできますか?」と、喋るのが嫌な人もいるという例を挙げながら実際に訊ねてみたり、お客さまの喋る量やペースに合わせる「ペーシング」を行ったりするのも、心地よさを感じていただく上では有効です。

 

否定的なことを伝える前には必ずクッション言葉を入れる

 

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-施術中に頻繁に頭を動かしてしまうお客さまには、どのように「動かないように」とお伝えしたらよいのでしょうか?

 

お願いする前や否定的なことをお伝えする前には、まず必ず「申し訳ございませんが」「恐れ入りますが」といったクッション言葉を入れることがポイントです。動かないようお伝えするときも「長い間じっとするのって大変ですよね」と共感を挟みながら、「ただ動いてしまうとラインが崩れてしまうので」と、お客さまにとってのデメリットを挙げてお願いをします。

 

また、なぜその方が動いてしまうのかを考えることも必要ですよね。実は切った髪の毛が首回りに残ってかゆいという可能性もありますし、後ろのラインが気になって見ようとしているのかもしれない。ですから、「少し立ち上がってストレッチしますか?」など本音を引き出すための提案をしてみるのもいいと思います。多くの人は接客を「言われる前にやること」と思いがちですよね。確かにそういう部分もあるのですが、好みや問題解決の方法は人それぞれなので、一方的に推し量るよりもためらわずに聞いてしまう方がよいのではないかと思います。

 

最後に「人とのコミュニケーションにおいて、自分には相手の気持ちがわかるわけがない、という考えを持っておくのは大切なこと」と秋元さん。経験則で相手の気持ちを一方的に推し量るのではなく、そもそも「わかるわけがない」と自分の推測をゼロにした上でわかろうと努力することが、よい接客にもつながるのだそうです。みなさんもぜひ、ご紹介したコミュニケーション術を接客に限らず、社内やプライベートの関係においても活かしてみてはいかがでしょうか。

 

プロフィール
株式会社キャリア・フォワード代表/キャリアコンサルタント
秋元浩子(あきもと ひろこ)

大学卒業後、日本航空に入社し、国際線客室乗務員として勤務。退社後は(株)JALアカデミーの研修講師として、各種企業研修・大学講座に数多く関るほか、企業モニタリング、サービスマニュアル作成にも従事。並行してキャリアコンサルタントとしての活動も開始し、現在は企業を対象としたコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修なども行う。

 

 (取材/文・阿部夕華)

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