【黒肌&アラ還美容師】50代後半でフリーランスに。還暦美容師 吉田ケン×笠本善之が語る美容師の”真髄”。原点に戻って理解した仕事の原点と醍醐味

 

 

美容師として何歳まで現役で活躍できるのか、次のキャリアステップは独立出店なのか、フリーランスなのか…。そのヒントを探るべく、この度リクエストQJではアラ還美容師対談を企画! アラウンド還暦(60歳前後)を象徴する美容師としてお招きしたのは、吉田ケンさんと笠本善之(かさもとよしゆき)さん。この日、初めて顔を合わせた両者は「黒いですねー」「いや、あなたも黒いですねー」と謎の挨拶を交わして意気投合。バブル絶頂期の爆笑裏話から、最近の美容業界、恋愛論まで熱い議論を戦わせました! そんな異色の対談の様子をご紹介します! まずは前編からどうぞ。

 

プロフィール
吉田 ケン
『una』総合プロデューサー、美容コンサルタント
1962年生まれ、東京都出身。都内有名店1店舗を経て、1988年に独立。東京・北千住で出店をスタートし、2005年銀座にラグジュアリーサロン『EGO』をオープン。2011年に2店舗目を出店。集客サイト10年連続1位を獲得する人気サロンへと成長させるが、2020年末に自ら退き、1年間のフリーランス美容師を経て現職。JHA、H1グランプリなど数多くのヘアデザイン賞に受賞歴をもつ。
インスタグラム@kenyoshidaego

 

 

 

プロフィール
笠本善之(かさもとよしゆき)
『private.』フリーランス美容師
1965年生まれ、山口県出身。17歳で美容業界に入り、数店舗を経て25歳で出店。5年後にステージアップのため売却し、福岡に活躍拠点を移す。そこでTAYAグループに入社し、撮影や教育面でも活躍。39歳のときに銀座の新店舗に異動となり、上京。以降、その店舗で16年間トップデザイナーとして活躍したのち退社。2022年9月、銀座某所に自身のアトリエサロン『private.』を立ち上げる。
インスタグラム@kasamotoyoshiyuki

 

 


 

美容師の価値は、ずばり「熟成肉」と同じ

 

 

——どことなく似た雰囲気を持つ吉田さんと笠本さんですが、キャリアでも共通項がありますよね。長く銀座を拠点に美容師を続けてきたこと。50代後半でフリーランスに転向したこととか。ブラックからホワイトへ、ここ数年で劇的に整備が進んだ美容業界について感じていることを、率直に聞かせてください。

 

笠本:確かに、社会保険や休日などの福利厚生の整備は進んだと思います。ただ、業界の”根幹”となる、働き手の考え方がまだまだ変わってないと感じていて。もう時代は令和なのに、いまだに昭和な考え方をしている人たちが多すぎると思うんです。例えば営業の仕方もそうですし、店舗やスタイルの打ち出し方、集客。よく耳にするのは、「あんなのは美容室じゃないよね」とか、「そんなことやっていてもカッコよくない」「デザインを追求しない美容師はダメ」みたいなガチガチに凝り固まってる価値観。つまり、業界に深く根付いてる”スポ根”が要因なんですよね。もっとマインドをアップデートしていく方がいいんじゃないかなというのは感じています。

 

 

吉田:すごくわかります(笑)。根拠のないルールで縛りつけている人や、マウントをとりたがる人。

 

笠本:そう、そういうのです。キラキラした大型サロンでゴリゴリ回して、たくさんアシスタントを使ってカットするだけのスタイリストが一番エラい、みたいな風潮もまだ残ってますよね。

 

吉田:同時に5〜6人施術するのがカッコイイみたいなね。

 

 

笠本:売上が高ければエラいと思っている人が多いけど、美容師の本質って、そこじゃないんですよ。ケンさんや僕みたいに、いろいろと経験して業界一周してきた人なら分かってくれると思うんですが、美容師は「熟成肉」と同じなんです。

 

吉田:いい例えですね(笑)。

 

笠本:肉は、1kgのものも2週間熟成すると縮んで500gになるんですね。周りの硬くなった部分をそぎ落としながら熟成させるんですけど、500gになっても値段は1kg分で、プラス手数料も取るから2万円くらいになる。でも、中に旨みが凝縮しているので、食べてみたらめちゃくちゃ旨いんですよ。これと同じで、美容業界では1000万の売上が評価されていますけど、俺は300万しか売り上げなくても中身の濃さは負けませんよっていう(笑)。

 

吉田:客数とか売上の大きさに捉われず、いろんなものをそぎ落として旨みを凝縮していく美容師人生を目指せたらいいですよね。

 

 

笠本:そこなんです。でも、それに気づけないと「40代、50代になっても大きい数字をキープしなくちゃ」っていう考え方になりますよね。そんなの、できるわけがないのに。だって、市場価値は落ちてくるんですよ。みんな若いイケメンのほうがいいに決まってるじゃないですか(笑)。削ぎ落とす勇気とか、旨みを増していく勇気をもって、パイの大きさにこだわらずにやっていくことが美容師人生で長生きする秘訣じゃないかなと思います。集中すべきなのは集客じゃなく、失客しないこと。一生のお付き合いをするために、一滴ももれないように蓋をしていく。そこにフォーカスするんです。集客を既存客のご紹介だけにすれば、必然的に増えていきますよね。いつまでも新規集客に固執する考え方は、古いんじゃないかなって思います。

 

 

 

>そもそも、目指すゴールを間違えてた(笑)

 

 

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