渋谷発! 美容室で「カーボン・オフセット」をZ世代のトレンドに! 渋谷区×三井物産×博報堂×美容室の取り組みをNORA代表広江一也さんに聞く

「地球を汚す生き方はダサい」と思われる時代が近づいている

 

 

今、日本で脱炭素の取り組みをしているのは大手企業が大半で、しかも風力発電や電気自動車などの壮大なプロジェクトが目だっています。しかも、年配者が主導しているのが現状です。僕はそれを、これからの日本をつくるZ世代など、若い子たちが興味を持つ取り組みにしたいと思いました。

 

Z世代の子たちって実は環境をさりげなく意識しているし、古着やリメイクの服を好み、スケボーや自転車で移動して、休日はキャンプを楽しむとか、そういうスタイルの子も増えています。しかも、それを頑張ってやっているのではなく、おしゃれなライフスタイルとして楽しんでいる。これってすごくスマートだと思いませんか。


 

僕はそれをカルチャーとして広めることが大事だと思っているし、カルチャーの出発点として渋谷という街はぴったりだと感じています。渋谷は昔から若者のカルチャーが生まれる街だし、今もその影響力も大きいですから。

 

LINEアプリ「zeroboard me x NORA」をつくったもともとのきっかけも、「渋谷の街づくりに貢献すること」でした。日本を代表する総合商社の三井物産株式会社と広告代理店の株式会社博報堂、そして渋谷区が一緒に取り組む「生活者ドリブン・スマートシティ」事業「shibuya good pass」と連携して、美容室で何かできないかと相談をいただいたんです。

 

渋谷という街は、ファッションやビューティーと深く関わってきた歴史があります。美容室は、おしゃれをするために欠かせない場所です。そこで、ファッション感覚で「カーボン・オフセット」ができるとなれば、時代の空気を読むセンスのある人は興味をもってやってくれると予想していました。

 

 

「美容室でできるカーボン・オフセットって何?」と思わせたら勝ち

 

 

今のSNS世代に響くように設計したので、「zeroboard me x NORA」を使ってくれたお客さまの写真がどんどん拡散されることを期待しています。Z世代の子たちが「カーボン・オフセットって何?」とか「普通に髪の毛を切るより、カーボン・オフセットできるところで切るほうがなんとなくおしゃれ」とか考えるきっかけになれば、まずは成功かなと。

 

この取り組みそのものが、美容室の利益に直接つながるわけではありません。しかしながら、広告効果としてかなりの手応えを感じています。カーボン・オフセットに取り組んでいなければ、このインタビューもなかったわけですし。普通に広告料を支払って広告を打つよりも、よほど効果があります。環境負荷低減に取り組むことで美容室としての信頼も高まるし、人材採用のフックにもなってくれそうです。

 

 

ちなみに、僕は今も週6日、フルタイムでサロンワークをしています。お客さまには、上場企業の社長さんなど、日本を代表するような企業で活躍している方がいます。ビジネスの最前線に立つ人たちとお話ししていると、Z世代にアプローチしたいという声がとても多いです。僕たち美容師が持っている知見を、多くの企業が求めています。そのことを知っているから僕たちは、今回のように商社や広告代理店、行政など他業種との連携ができるのです。これからも新しい美容室の可能性を見せていきますので、楽しみにしていてください。

 

プロフィール
NORA

代表/広江 一也(ひろえかずや)

1974年生まれ。奈良県出身。高校卒業後、大手ゼネコンで勤務。関西美容理容専門学校(現グラムール美容専門学校)を経て都内有名店に入社し、店長などの要職を経験後、独立。表参道に「NORA」を設立。青山、表参道、渋谷、銀座、吉祥寺、鎌倉、大阪、フィリピンに店舗展開。

 

(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)

 

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