“おっさんを美女にする魔術師”女装サロン『studio RAAR』岡本めぐみが描く、“変身”の可能性

肯定からはじまるサロンづくり──お客さまのもうひとつの人生に寄り添うために

 

 

『studio RAAR』に女装メイクをしに来るお客さまには、さまざまな方がいます。先ほど、昔は女装する方はお硬い職業の方が多かったとお話ししましたが、男性らしさや厳しい規律を求められる仕事や環境に身を置いていて、ストレス発散として女装をするという方は多いです。

 

私のInstagramの動画では、「なぜ女装をするんですか?」などとお客さまに質問しているものもありますが、通常の接客では、女装のきっかけや普段の仕事などについては、こちらからは聞かないようにしています。代わりに、「今日はどんな雰囲気になりたいですか?」という、それこそ美容院みたいな会話からスタートして、その人がおしゃべりしたい人なのかそうじゃないのかを見極めながら、自然に距離を縮めていきます。

 

 

私が大切にしているのは、“女装が肯定される場所”をつくること。女装を肯定的に捉えながら、楽しくおしゃべりするようにしています。

「女装に出会って、人生が豊かになった」と言ってもらえることも本当に多くて、こういった声を聞くと、私もとても嬉しくなりますね。

 

一緒に働いているスタッフの中には、元美容師という経歴を持っている者もいます。メイクが好きで美容師さんになっても、メイクができる仕事ってあんまりないんですよね。あったとしても、成人式やブライダルなど、自分の好きなようにメイクをできる現場は少ないようです。その点、studio RAARでは、美容学生のときに楽しかった作品作りを仕事としてずっと続けているようなイメージです。「作品づくりが好き」「もっと自由にメイクがしたい」というスタッフが、自分の感性や発想を思い切り活かせる場所として、ここを選んでくれています。

 

 

今後の展望としては、スキンケア商品を開発していきたいと考えています。女装メイクでは肌のコンディションがとても大事で、ファンデーションがきれいにのるかどうかで仕上がりが変わってきます。洗顔後にオールインワンをつけるだけでもいいので、そういったシンプルなケアの大切さを伝えていけたらと思っています。

 

女装するときって、「ユミちゃん」とか「ゆうちゃん」とか、女装バージョンの名前をつけるんですよ。女装したときは、自分の中にもう一人の人格が生まれているということだと思うのですが、それって、人生がもう一つあるみたいで素敵なことだと思いませんか?

私の仕事は、その“もうひとつの人生”を演出することでもあります。これからも、お客さま一人ひとりの“なりたい”に寄り添いながら、変身の楽しさと喜びを届けていきたいです。

 

プロフィール
studio RAAR
代表/岡本めぐみ

元化粧品販売員、エステティシャン。その後フリーのメイクとしてヘアセットサロン、女装サロン、女優、タレントのメイクを担当し幅広く経験を積み、studio RAARを開業。studio RAAR開業から延1万人以上の女装メイクを担当。性別に囚われずその人の骨格、雰囲気、好みをしっかり観察し、自然且つ要望通りのメイクを提案。その経験からメイクで綺麗になった女装の皆様が輝ける場を作りたいと考え、RAARでのサロンワークの傍ら数々のイベントを主催する。中でも代表的なものは性別に囚われず好きなファッションを楽しむジェンダーフリーファッションパーティー「RAAR’s Night」や女装男子と女装男子が好きな女性のマッチング交流パーティー「女装と女子会」などがある。
Instagram:@megumiraar

 

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