内田聡一郎さん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第18回「牽引する人」

あなたが望むことがみんなが望むことになりますように

 

「緊急入院することになりました」。

 

内田さんから病院から届いたLINEメッセージを見たとき、私はすごく後悔した。どこかで「やっぱり」という気持ちがしたから。「ちゃんと休んで」って、もっともっと強く言っておけばよかったと思った(でもきっと聞かなかったと思うけれど)。

 

内田さんからのLINEには「入院と言われた瞬間、友美さんに怒られる……って思いました」と書かれていたんだけれど、

怒るより何より、とにかく、無事だっただけでも本当によかった。

人生初の入院が、死に直結する人だっている。だから、内田さんが無事だったのは、不幸中の幸いだったと思う。

 

退院してからの内田さんも、相変わらず忙しそうだったけれど、でも、なんだか少し雰囲気が変わったなと感じることが増えた。

 

それまでは、会うとデザインの話ばかりしていたのに、会話のはしばしに「スタッフの育て方」や「業界のこれから」の話がはさまるようになった。

ご自身の話だけではなく、後輩の話をよくするようになった。

「これからの、自分の役割」というようなことを、考えているように見えた。

 

38歳。

新しいことを続ける人は、永遠に若く感じられるけれど、それでももう、内田さんは業界を牽引する“若手の旗手”ではなく、まぎれもなく“中核世代”になろうとしている。

 

2018年の春、内田さんは独立して自分のサロンを持たれるそうです。

先日、ご本人とお話しする機会があり、これからの話を聞かせていただいた。

 

今までVeLOやveticaで大切にしてきたこと。引き継いでいきたいこと。

そして、これからの若手のために取り組んでいきたいとこと。

ゆっくりと話す内田さんの話を聞いていて、やっぱりこの方は、業界の宝で業界の希望であり続けるんだろうなと感じました。

 

そして、それと同時に思ったことはこんなこと。

 

今まで内田さんは、いろんな人に「こうであってほしい」と望まれた内田聡一郎像を裏切らないようにと走ってきたのだろうと思うけれど、

これからは、きっと、内田さん本人が目指す内田聡一郎像が、みんなの理想像に変わるんじゃないかなってこと。

 

私はこれからもそんな内田さんの人生をかけた勝負を見ていきたいし、ときどきは「ちゃんと休んで寝なさい」という小言を言い続ける存在でいようと思います。

 

内田さんのこれからを、心から楽しみにしています。

でも、内田さんの思うままに、めっちゃ好きにしてほしいです。

 

 

 

 -Profile-

 

vetica/クリエイティブディレクター

内田 総一郎(うちだ そういちろう)

 

神奈川県出身。神奈川県内美容室1店舗を経て、VeLOオープニングスタッフとして参加し、店長兼ディレクターを経た後、2009年にVeLOの姉妹店となるveticaのクリエイティブディレクターに。サロンワークをはじめ一般誌から業界誌、セミナー等、幅広く活躍中。またプライベートではDJ活動もしており、代官山AIR,渋谷ASIAでのレジデントパーティーをはじめ、都内クラブで活躍。さまざまなアーティストと競演をはたしている。

 

文・佐藤友美

 

 

日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。MINXの故鈴木三枝子さんについて関係者191名に取材してまとめた最新著作『道を継ぐ』が、美容業界を超えて話題になった。また、『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、7万部の大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。

 

 

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