Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×フォトグラファー 松山優介 (前編) 巨匠との初セッションが美容コンテスト界NO.1フォトグラファーを生み出した

「セルフオマージュを出したとき『自分に負けた』と思ったんだよね」(内田)

 

 

内田:僕は自分の得意技を封印することってできないんですよ。この前もね、新美容で自由につくっていいと言われて作品をつくったんですよ。結果としていいものができたと思うし、自分もめっちゃ好きなんだけど、でもあれってセルフカバーなんです。5年か6年くらい前に表紙をやらせてもらったときのセルフオマージュというか。もちろんヘアのクオリティとかディテールをもっと向上させる狙いがあったんですけれど。でもそのときちょっと、「自分に負けたな」って思ったんです。

 

松山:え、どうしてですか?

 

内田:新しいものをやったぞ!という気持ちになれなかった。なんでも自由と言われたときに「うわぁ…なんか俺、新しいことできねぇや」って。

 

松山:昔の作品をブラッシュアップするのって全然アリだと思います。僕が思うに、内田さんは組み立てる順番がすごくしっかりしているんですよね。準備も万全だし、撮影の計画も念入りに練られているというか。

 

内田:思った通りにいかないとダメなんだよね。めちゃくちゃ考えて、もう台本まで書いちゃう。だからヘアショーもそうだし、撮影もそうなんだけど、この画角でこの風合いでっていうのはあらかじめ決めておく。もちろん松山さんとやるときはライティングの部分を投げるんですけれど、でも、画角はここってもう決めちゃっているんですよ。

 

松山:そうですね、確かに内田さんと作品のときはイレギュラーで何かすることは少ないかもしれない。

 

内田:でもそこが自分の弱点というか。ときには「こうじゃない!」って全部ひっくり返してしまうようなやり方もあるわけじゃないですか。即興を楽しみながら素晴らしいもの生み出す人もいるわけで。僕がすごいなって思うのは、そういうタイプの人のほうが多かったりして。フラットに現場に入って、何もしないところから撮っていって、どんどん変えていくみたいな。そういうやり方に憧れてやっていたこともあるんだけど、全然それだとうまくいかない。だから右脳派とか、天才肌の人に憧れるんだよね。

 

「内田さんは撮影も早いし、メールも早い。これ大事だと思いますよ」(松山)

 

 

松山:内田さんは天才肌の人への憧れがあるって言いますけど、僕からすると仕事はしやすいですけどね。何をしたいのかわかりやすいし、撮影が終わるのも早い。あとは内田さんはメールの返信も早い。これは大事だと思いますよ。

 

内田:でも早すぎる男ってどうなんだろうね。淡白な男はモテないよね。

 

松山:そうですね、ちょっと焦らすくらいがいいのかもしれないですけれど(笑)。僕もメールは絶対に早いほうがいいと思っていて。見たらすぐ返しちゃえっていうタイプ。

 

内田:もともとそうでした?

 

松山:先延ばしにすると忘れちゃうかもしれないから。すぐに返信できないときはあえて見ないようにしています。

 

内田:巨匠と呼ばれる人たちはさ、ズボラな人が多くない? 右脳派とか奇才みたいな人とかさ。僕はサカナクションの山口一郎さんが好きなんだけど、楽曲を制作するときに全ての電源をオフにするみたいなんですよね。

 

松山:そうなんですか。

 

内田:楽曲が完成するまでの間、1週間とかそれこそ1カ月とか一切の連絡を拒絶するらしいんですよ。俺だったらそんなことできないし、許されないわけなんだけど。こんな感じで振り切っててカッコよくなる人と、こまめにちゃんとやって実力を発揮する人と別れるんだろうね。僕は松山さんは右脳派の人なのかなって思っていたんだけど、結構マメなんだね。

 

松山:いや、マメというより忘れちゃうのですぐに返しているだけです。

 

内田:ひょっとしたらそれって一周回ってズボラなんですか?

 

松山:そうです。完全に一周回ってズボラですね。

 

内田:ズボラだからこそ相手のために返事を早くしているってことなんだね。なんか松山さんのそういうところ人柄の良さにつながっていますよね。人をアゲるのも上手だし。

 

松山:なんか嫌なんですよね、人に嫌な思いをさせるのが。だから、なるべくみんなに気持ちよく仕事をしてほしいし、そのために動いている部分もありますね。

 

後編へ続く

 

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プロフィール
LECO代表 内田聡一郎(うちだ そういちろう)

2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。
2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUをオープン。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。
2019年12月から若手美容師にエールを送るsoucutsラジオを始動。

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プロフィール
フォトグラファー/松山優介(まつやまゆうすけ)

名古屋のフォトスタジオを経て上京。集英社スタジオ勤務後、chiyoda-studioに所属。美容専門誌をはじめ、フォトコンテストや作品撮影などで活躍。2015年JHAグランプリ、準グランプリ、2016年JHAグランプリなど、コンテストのグランプリに輝く作品を多数担当。メーカー、美容専門学校などで撮影セミナーなども行なう。

 

(文/外山 武史 撮影/松林 真幸)

 

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