「海外行け!」のワタロー vs 「日本でかませ!」の内田聡一郎 美容師ふたりの価値観バトル【前編】

現在、ロンドンと東京を行き来しながら、サロンワークとコレクションでのセッションスタイリスト(ショーなどのヘアメイク)の仕事にも注力し、世界のステージに挑んでいるHaco+(ハコプラス)のワタローさん。そこで感じた日本との違いや価値観の更新、未来への野望など、「今のこの気持ちを聞いてほしい」と、ぶつけたのは、東京で美容師として独自の道を築いてきたLECO(レコ)の内田聡一郎(うちだそういちろう)さん。世代も立場も違う二人が語る、珠玉の対談を前後編でお届けします。
前編はワタローさんがリードし、自身の経験から海外志向のススメについての話をメインにお伝えします。
ロンドンと東京、二拠点で美容師をするという選択──海外に飛び出したワタローさんの現在地

―ワタローさんは、今ロンドンと日本の二拠点で美容師をしていますが、ロンドンではどういう形で働いているのか、というお話しからスタートしたいです。
ワタロー:去年(2024年)の1月からロンドンと東京を行き来する生活がスタートして、ロンドンで半年、東京で半年、みたいな感じです。ロンドンで働いてみたいという気持ちはずっとあったものの、日本人が働くためのビザの枠が少ないんですよ。でも、「HACO(ハコ)」に声をかけていただいて、ビザも取れるということだったので決断しました。
内田:ロンドンでは、美容師とコレクションのバックステージの両輪なんだよね?
ワタロー:はい。去年は、1〜2月がロンドン、3〜5月が東京、6〜7月がロンドン、8〜9月が東京、10〜11月がロンドン、12月が東京…っていうサイクルで動いてました。パリコレ、ロンドン・コレクション、AWがある時期に合わせて向こうに滞在している形になりますね。今年はさらにロンドン多めで、7カ月ロンドン、5カ月日本にいる予定です。徐々に日本の比重を減らしていこうかと考えています。
内田:それはロンドンでの仕事がどんどん面白くなってきてるから?

ワタロー:そうですね。日本でのお客さまも保持しながら、海外でもチャレンジしていこう、と。サロンワークの面では、英語もそこまで堪能ではないけれどロンドンでもお客さまがどんどんついていて。今は予約もフルで入るようになりました。日本と求められる技術やデザインが全然違うのかなと思っていたんですけど、意外と世界共通なんですよね。ロンドンのお客さまが持ってくる写真も、東京の美容師が発信しているものだったりして、バズった数字だけでなく、「ちゃんと見られているんだな」と、実感を持ちました。
内田:そうなんだね。
ワタロー:あと、“成長欲”みたいなものが満たされますね。ロンドンにいると自分が24歳のジュニアスタイリストみたいなムーブをしているんですよ。だんだん数字が上がってきて結果が出てくるあの感じをまた味わえるのがすごく楽しいです。
内田:海外で一度リセットして、あのときに感じていた上がっていく感じをもう一度味わっているんだね。
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