結局、美容師に大事なのは「技術」か「生き方か」? ワタロー×内田聡一郎の価値観バトル【後編】

数字に疲れたら人に会いに行くべき! SNS疲れのその先にあるリアルな楽しみ

 

 

内田:今の時代、人と比べるツールはいくらでもあるから目に見える数字で幸せを得たい、安心したいというのもわかるんだよね。

 

ワタロー:最近SNSを楽しめない人が増えていますよね。一度バズったりするともう一度それを味わいたいと思うし、ずっと注目されていたいという呪いにかかる。でも、SNSがなくても誰かと会って楽しむことはできるし、それをすることで健康になりますよ。僕もロンドンでクラブに通いだしていろんな人と会うようになったら超元気になりました。

 

内田:アシスタントや美容学生を見ていると、極端にインスタを見ないし投稿もしない人は増えているのを感じるよね。それって、自己肯定感を守るための手段なのかもしれない。

オフライン側に正解を感じている。事実、俺たちもそうだったじゃない。ストリートで出会った人たちと楽しいことをやって、そのときに「今日本一俺たちイケてるな」とか「日本一ホットだよね」とか思えていたのって、そこしか知らないから幸せを感じられていた部分が大きい。だから、結果、海外には出て行かなくていいんじゃないかな?(笑)

 

ワタロー:それは違います!内田さん若い子に海外行かれたくないからポジショントークでしょ(笑)!

 

 

内田:それはあるかもね(笑)。でも「日本で楽しもうぜ」っていうのじゃダメ? まだ結果を出せていない人も幸せにならなきゃいけないじゃん。幸せって相対評価だから、知りすぎるのは悪な場合もあるよ? 海外とかに行ってもっと知っちゃったら病む人多くなると思うよ。

 

ワタロー:いや、日本で呪われなくていいよと言いたいです!

 

―これだけお互い理解していて、マインドも共通する部分は大きいのに、そこだけは相容れないのが面白いですね(笑)。

 

ワタロー:俺は海外行きが流行って解放される美容師が増えてほしいし、内田さんはオーナーとしての立場がありますからね(笑)。

 

―最後に、お二人から若手の美容師さんの希望となるメッセージをいただけますか?

 

ワタロー:数字とかお金とかインターネットに振り回されずに、本当にかっこいい美容師になるために、出会うために動いてほしいですね。そしてそれは、海外に行った方が出会う可能性が高いです。実際、ロンドンにはいっぱいいました。だから、選択肢の一つとして考えてほしいですね。僕もやっているわけですし飛び込んできてください!

 

 

内田:俺はやっぱり「技術を磨いてください」としか言わない。それだけですね。今、早いじゃないですか教育って。でも、早々にスタイリストになってしまったがゆえに、モラトリアムの期間がなさすぎて荒野に放り出されてどうしたらいいのかわからない、と途方に暮れている人も多いと思う。フリーランスになるのもいいけれど、中長期的に見たら、自分でお金を払って技術を学びに行ったりしてるわけですよね。そして、その時に気づいてやるのは間違いじゃない。でも、結局やるとしたら、まず、技術を高めてほしい。今、やるしかないでしょっていうマッチョの世界になっていくんです。終電までやるしかない!

ワタローだって技術があるからこそロンドンで勝負できているし、いろんな人に出会って舐められずに戦えるじゃない。

 

ワタロー:確かにバックボーンがあったから自信をもって行けたのはあります。

 

内田:俺は何回考えてもそれにたどり着く。マジで技術ができないと本当にきついだろうなって思うよ。その技術が根底にあるからこそトレンドを乗せることができるわけで、「一旦やっとこうよ」って。まじで損はないからね。

 

ワタロー:今日は内田さんと語れてよかったです。日本で悩んでいる美容師さんに明るいメッセージを伝えたくて。内田さんというフィルターを通したらより多くの人に聞いてもらえるんじゃないかと考えていました。結果、カウンターで迎えられたけど(笑)。楽しい時間でした。

 

内田:この対談が決まった瞬間から準備していたからね。こちらこそ、ワタローの今やロンドンでのことを聞けてよかったよ。ありがとうございました!

 

 

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プロフィール

ワタロー/『Haco+』アートディレクター

1990年生まれ、千葉県出身。ベルエポック美容専門学校を卒業後、大阪のデザイナーズサロンに入社。4年間のアシスタント期間を経て、2016年東京店オープニングスタッフとして上京、デビュー。その後ディレクター職まで経験し、ヘアメイクや美容専門学校講師としても活躍。2023年の渡英をきっかけに、ロンドンに本店をもつサロン『Haco』への参画を決意。11月にオープンした東京店『Haco+』にて、アートディレクターとして新たなキャリアをスタート。

 

内田聡一郎/『LECO』代表

2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUをオープン。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。

 

(文/須川奈津江 撮影/菊池麻美)

 

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