海外市場での経験や実践で育まれたデザイン哲学

三瓶：僕に限らず、気がついたらY.S.PARKのコームを使っていた、という美容師は多いはず。いろんなものを使ってみたけど、でも最終的にはコレがいいって、肌に馴染む感覚があるんですよね。こういったパークさんのデザインの発想ってどこから生まれてくるのでしょう？　

パーク：僕はヤンスーパークという名前を持って日本で生まれ、帰化しました。縁があってロンドン、パリ、バンクーバーで美容師として働いた経験もあります。そのせいなのか、世界から見た日本というものを、客観的に見たり、否応なく日本人らしさを意識することも多かったです。例えば、日本人って細分化する傾向があり、文化や伝統など様々な場面で使い分けが求められていますよね。そういった気質がY.S.PARKブランドの道具設計にも宿っているのかなと思うんです。

三瓶：僕はたまたまコームが好きで、Y.S.PARKのコームを気づいたらたくさん持っていたのですが、それ以外にも多くの道具類がサロンで使われていますよね。Y.S.PARKのスプレイヤーは美容師なら全員持っているし、今や美容業界以外の方も使っている名作です。

YSスプレイヤー 220ml 全6色

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パーク： 吸水管のおもりとして使っているのは、すずなんです。すずは毒を無毒化したり、水道水の塩素を軽減する働きがあります。長く使っているとすずが変色して効果が半減してしまうので、たまには洗ってくださいね。

サロンワークの効率化を追求して生まれたものなんですが、意外にも園芸業界や飲食業界でも使われていますよ。

三瓶：まさにパークさんは美容業界に革命をもたらした存在！　サロンワークの現場での気づきが、こんな形で商品に発展して、今では世界の美容師から愛され必要とされています。そのこと自体がすごいな、と思うし、日本人として誇らしい気分にもなります。今日はありがとうございました。

＜まとめ＞

ヘアカットの名門サスーンアカデミーには、SASOONのロゴが入ったY.S.PARKのコームがあるそうです。精密なカットワークに適したアイテムとして、世界的にも認められたブランドだということですね。

パークさんが語る「一流の美容師が使うための、一流の道具」という理念は、道具作りへの真摯な姿勢と、高品質なプロダクトを通じて美容師の可能性を引き出したいという強い想いが象徴されています。また「スピーディ・イージー・プレサイス」という設計哲学も大いに共感。数年にわたる試行錯誤の末に完成させた商品の数々から、美容師の視点に立った物作りの奥深さが感じられました。

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（文／リクエストQJ編集部　撮影／宮崎洋）