縦の関係から、それぞれがお店を支える立場へ-apish代表とクリエイティブディレクターの男の友情-

-現在、佐藤さんは代表というオーナー的な立場、また堀江さんはクリエイティブディレクターという現場の立場でご活躍されていますが、自分にはないと感じるお互いの能力って何ですか?

 

堀江「僕は下の子をうまく育ててあげることが苦手なんですけど、大さんはその人に合った話をして、育ててあげることができます。やはり全体を把握する能力があるんですよね。スタイリスト時代から、ベースのデザインがつくれるだけではなく、お店からの信頼もありました。それがしっかり数字にも繋がっている人だったので、現在こうして代表という立場にいるんだと思います」

 

佐藤「僕は全体を見る分、バランスを大切に考えるので、一つの物事や自分のことに堀江ほど集中できないですね。堀江は新人の頃からすごくガツガツしていましたから。例えば、お店に入った撮影でも『僕やりたいです』とか『僕がそれ行くべきだと思います』という感じでどんどん仕事をもらおうとするんですよ。育ててあげたい反面、鬱陶しいなと感じる程ガツガツしていましたね(笑)

 

向上心の高い堀江が、店長をやりたいと言いだしたときには、はっきり『堀江には向いてない』と言ったこともありました。それでもやりたいと言う熱意に負けて、堀江を伸ばしてあげようと思ったんですよね。その為には長所をもっと活かしてあげようと考えたんです。

 

結果的には、堀江は3年間apishの店長を務めました。その後お店の売上げや、美容専門誌などでの活躍が認められて、現在のクリエイティブディレクターという地位にいます。自分が得意とするものに専念して益々力を発揮していますよ。

 

堀江の短所は、自分のことに夢中になりすぎてしまうところでした。でもそのがむしゃらなパワーや集中力があったからこそ、短所が長所に変わって現在の地位があるんだと思います。長所と短所って表裏一体なんですよね。今の堀江は自分にはないようなデザイン力を持っているし、これからもどんどん好きなことを追求して美容の可能性を広げてほしいと思います」

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-では最後に、出会ったことで相手から受けた影響や自分の成長に繋がったことを教えて下さい。

 

堀江「最初は仕事をするうえでプロセスを踏んだ成長にこだわっていたんですけど、もっと自由にやっていいんだということを大さんに教えてもらいました。今はいろんな雑誌で自分のスタイルを載せてもらえているのですが、それは自分の武器を作らせてくれた大さんのおかげだと思っています。よっぽどのことがない限り、今でも自由にやらせてもらってますし、さすがにやりすぎ!と思うようなデザインを作るときは止めてもらうんですけど。要するに手のひらの中で踊らされているんですよね(笑)

 

でも、そういう仕事の取り組み方が僕にはすごく向いているんですよ。もちろん短所をなるべくなくす努力は必要ですけど、長所を伸ばす育て方をしてもらっていなければ、今の自分は絶対にいないと思っています」

 

佐藤「僕はもともとかなり負けず嫌いな性格なんですが、堀江はさらにもっと負けず嫌いで、しかも自分とは全く違うタイプの人間でした。本来であれば、自分より上にいこうとする人や邪魔をする人は潰そうと考えるんですけど(笑)堀江の場合はなぜか育てなければ、と思ったんです。自分とは歳もキャリアも離れているし役割も違うので、ライバルだと思うことなく、堀江が成長することを考えていたんですよね。そういう点では堀江は自分を大人にさせてくれた存在だと思います」

 

 

いかがでしたか?友だちでもない、ライバルとも違う、男同士の縦の関係。自分の長所を引き出してくれる先輩に出会った後輩は、自分の武器を作り、先輩と共にお店を支える立場に成長しました。みなさまの身近にも自分を成長させてくれる美容師の同志がいるのではないでしょうか?今まで以上にその存在を意識することで、仕事の打ち込み方が変化するかもしれないですね。

 

プロフィール
apish/代表 佐藤 大(さとう だい)

apishオープニングスタッフとして参加。apish代表として、サロンワーク、撮影、ヘアショーなどで幅広く活動中。クセのように自然でゆるやかなパーマが得意で毎日のスタイリングがカンタンで 今より楽しく幸せになるヘアスタイル作りをモットーにしている。メーカー専任講師としても活動し、日本各地でのセミナーでも評価が高い。
プロフィール
apish/クリエイティブディレクター 堀江 昌樹(ほりえ まさき)

ル・トーア東亜美容専門学校を卒業後、apishに入社。apish jeno出店準備から関わり、店長に就任。現在、全店を総括するクリエイティブディレクターを務める。サロンワークの他、撮影やセミナーなどで活躍。JHAにて、2012年に新人賞ノミネート、2013年には大賞ノミネート。

(文:駒場 千尋)

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