偉人の名言は、美容師と経営者の未来を照らす羅針盤だ Magico上原潤一郎のコトダマ
第一線で活躍する美容師たちの人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する連載企画「美容師のコトダマ」。今回は、若手美容室オーナーたちから絶大な支持を集める、Magico(マジコ)代表・上原潤一郎(うえはらじゅんいちろう)さんが影響を受けた「心に響いた一言」にフォーカスします。どれほど時代が移り変わっても色褪せることのない、偉人たちの名言。そのひとつひとつが、人間の本質を鋭く突き、美容師としての在り方にも深く通じるものばかりです。
山本五十六「やってみせ、言って聞かせて、させてみて……」
僕には“師匠”的な存在っていうのが、あんまりいなかったんですよね。自分なりに探り探りやってきて、大きかったのは“本から学んだ言葉”の影響。本で読んだ格言や名言を自分なりに読み解いて、自分の生き方や経営に役立ててきました。
代表例は、山本五十六。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」っていう言葉が有名だと思います。でも、この言葉には続きがあります。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
まさに美容室のような労働集約型のビジネスで大切なことを言っているんですよ。明治から昭和にかけて生きた軍人が言っていたとは思えないくらい、現代に通じる格言だと思います。
こういう話を、美容室の経営者仲間との飲みの席なんかですると、意外に刺さるらしくて、「あの人からこんな言葉をもらった」みたいに言われるんですけど、実際は歴史の中にある先例を自分なりに紐解いて、それを伝えていることが多いんですよね。
商売家系の基礎「三方良し」「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
僕の家族や親戚は、みんななにかしらの商売をやっています。だから小さい頃から、商売の格言などを聞かされて育ったんです。
売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方良し」なんていうのも、小学生ぐらいからずっと言われていて「商売の基本なんだな」と思っていました。誰かが損したらうまくいかないんだなとか。
実りの重みで穂先が地面へと垂れる稲穂になぞらえ、学問や技能が深まるほど、人はますます謙虚になるという「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とか、子どものころは言葉を覚えていただけだったんですけど、実際に仕事をするようになって、「ああ、あのとき言われていたのは、こういうことだったんだな」と実感するようになりました。
>上杉鷹山「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」