偉人の名言は、美容師と経営者の未来を照らす羅針盤だ Magico上原潤一郎のコトダマ
上杉鷹山「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
学生時代、引きこもっていたころは、ゲームや漫画ばかりに没頭していました。そんな中で特に影響を受けたのが、『信長の野望』のようなシミュレーションゲームや歴史漫画です。今でいうなら『キングダム』のような作品ですね。当時から「組織を持って何かに挑む」ということに強く惹かれていました。
ゲームの中で仲間を集め、育成し、敵と戦い、内政に力を入れても天災ですべてが台無しになる──そんな経験を繰り返すうちに、自然と経営をするなかで遭遇するいろんなことに対する“耐性”が身についていった気がします。
とはいえ、引きこもる自分を見かねた父が、「これでも読んでみるか」と渡してくれたのが、米沢藩主・上杉鷹山に関するビジネス書でした。当時の米沢藩は極貧の状況でしたが、彼は見事にそれを立て直した人物で、今でも多くのビジネス書で取り上げられています。
「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉が有名ですが、その続きには「思わなければ何も始まらない」「夢は叶うものだ」といった意味が込められています。父がどんな思いでその本を手渡してくれたのかはわかりませんが、今では自分にとって大切な言葉のひとつになりました。
韓非子「清濁、併せ持ってこその人間である」
上杉鷹山の言葉との出会いをきっかけに、“歴史上の偉人たちの言葉”に強く惹かれるようになりました。彼らがどのように国を治め、人々を導き、哲学や帝王学を築いていったのか。その背景や思考に触れたいという気持ちが日に日に強まり、自然と古典や歴史書を手に取るようになり、夢中で読み漁るようになったんです。
なかでも深く読み込んだのが『韓非子』でした。最近では『キングダム』にも登場し注目されていますが、韓非子は秦の始皇帝と同時代を生きた王族のひとり。口下手だったと言われていますが、その洞察力と思想は群を抜いており、2000年以上も前に記された内容が、現代の法律や組織論にも通じています。
なかでも印象深いのが、「人間は清濁あわせ持つ存在であり、状況や感情によって変化するものだ」という考え方。人の感情や行動は常に揺れ動くもの。だからこそ、小手先のテクニックや一過性の施策では本質に届かない。変化の本質を見極め、そこに寄り添う思想や戦略こそが、時代を超えて価値を持ち続ける。そんなことを、韓非子から教わった気がしています。