偉人の名言は、美容師と経営者の未来を照らす羅針盤だ Magico上原潤一郎のコトダマ
LINE森川氏の「シンプルに考える」
森川さんの著書『シンプルに考える』は、何度も読み返しているほど大好きな一冊です。本気で映画化してほしいと思うくらい、起業家やビジネスパーソンに限らず、多くの人の心に響くストーリーだと思います。
今でこそLINEは“あって当たり前”のインフラ的な存在ですが、最初は本当にゼロからのスタート。全国民が使うサービスを、押し売りではなく「誰かを便利にしたい」という純粋な想いを原動力に、突き詰めていった結果、あそこまで大きくなった。その姿勢には、感動というより、もはや尊敬しかありません。
特にすごいのは、最初から“無償”にこだわり続けたこと。どうすればもっと多くの人に使ってもらえるかを徹底的に考え、無料で遊べるゲームや、通信量を抑えた写真共有機能など、数々の工夫を重ねていった。そうした小さな積み重ねが、ユーザーとの信頼につながっていったのだと思います。
スタンプ機能や写真共有など、誰もが使いやすい形に進化しても、すぐには課金せず、「まだ有料にはしない」という姿勢を貫いていた。その間、投資家たちはしっかり資金を出し続け、最適なタイミングで収益化に踏み切ったときには、すべての準備が整っていた。結果として、関わった人々は大きなリターンを得ただけでなく、“何かを成し遂げた”という実感も得られたはずです。「シンプルに、でも本気で“人のために”を貫く」ことで生まれた世界。初めて読んだときの衝撃は今でも忘れられず、折にふれて思い出しては、自分の仕事や姿勢を見直すきっかけになっています。

- プロフィール
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Magico
代表/上原潤一郎(うえはら じゅんいちろう)
神奈川県出身。東京都・下北沢を拠点に、美容業界で活躍する実業家・美容師。大手ヘアサロンや下北沢の人気サロンで経験を積んだのち、2006年、31歳で独立し、ヘアサロン「Magico(マジコ)」を設立。現在では、東京・神奈川エリアを中心に15店舗以上を展開するまでに成長を遂げている。音楽、映像、読書、ファッション、演劇、植物、三国志、ウイスキー、釣り、DIYなど、多岐にわたるカルチャーへの造詣も深い。
Instagram:@magico_jun
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)