夢は遠く、目標は近く──指名料55万 世界一の美容師・京極琉が語る挑戦のコトダマ
第一線で活躍する美容師たちの人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。今回は、ロンドンで開催された世界的なヘアカットコンテストで優勝し、“世界一の美容師”として名を馳せた京極琉(きょうごく・りゅう)さんが登場します。指名料は55万円、「KYOGOKU PROFESSIONAL」ブランドでは数多くの美容商材を開発・展開するなど、アーティストであり経営者としても活躍する京極さん。そんな彼の人生を大きく動かしたてきた “言葉”とは? 世界中の名言を自らの糧として消化し、自分の哲学に昇華してきた彼の言葉の数々―それはまさに“京極語録”。その奥深いコトダマの世界を、ご堪能ください。
不器用は神様からのギフト
もともと僕は全然器用なほうではありませんでした。振り返ると何をやっても失敗ばかりでしたが、最初からうまくいかないのが当たり前でした。むしろ、それが当たり前だと割り切っているからこそ、成長を楽しめてきたんだと思います。
美容師の世界に飛び込んだのは18歳のとき。美容専門学校の夜間部に通いながら、昼はサロンでアルバイトをする日々。現実逃避を繰り返していた中学・高校時代とは打って変わって、「この仕事で人生を変える」と決意。朝早くから終電まで働くことも珍しくありませんでした。不器用だから、とにかくやるしかなかったんです。
器用な人にはわからない失敗の痛みも、僕は知っていますし、失敗することでなにがダメだったのか考えることが自分を成長させるステップになっていました。だから「不器用は神様からのギフトだ」と、今では胸を張って言えます。
美容師という仕事は失敗を恐れていては成長できないんです。失敗を「失敗」と決めつけてしまえば、そこが終わりになってしまう。でも、「これは成功の過程の一部だ」と思えば、次の挑戦のエネルギーになる。
成功している人ほど、実はたくさんの失敗を積み重ねていると思います。失敗を繰り返すからこそ、そこでしか学べないことがあるし、技術も自分の考え方も、少しずつでも確実に磨かれていく。失敗を恐れずに挑戦し続けること。それが、美容師としての大きな成功につながるんです。